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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
44:狂乱
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その頭が伏せられた。同時に眺めの前髪がサラリと垂れ、彼の顔を隠す。

 …………ようやく、落ち着いたか……?

「いいか……ユミル。お前のHPは、もう――――」

 その時だった。
 ……俺は、その見解はまだ余りに浅はかだったと知った。
 伏せられた、その奥の見えぬ前髪の間から……


「邪魔をォ――――」


 という、恐ろしく低い声が漏れ出た。
 そして


「――――するなぁぁぁあああああ"あ"あ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッ!!!!!!」


 という、再びの弩級の絶叫。
 同時に……今までの《デモンヘイト》とは比べ物にならないほどに強烈なエフェクトと暴風が巻き起こった。

「馬鹿ッ、それ以上――……なっ!?」

 その時。
 ユミルに突き刺していた手が、ズボッと湿った音を立てて、ひとりでに抜けた。
 俺の体が、その爆風によって浮かび上がろうとしていたのだ。
 その手を再びユミルの肩へと伸ばすが……

「ユミッ――――!」

 届かず……そして俺の体は、その爆風に大きく吹き飛ばされ、背後の木に背から激突した。

「ぐあっはっ……!? ……ゲホッ、ゲホッ!」

 激しく咳き込みながら、俺の心情は恐慌の渦中にあった。

 そう、俺は吹き飛ばされたのだ。
 ユミルの『直接攻撃』ではなく……――ただの、ステータスエフェクトに、だ……!
 さっきの一瞬だけでも、あいつは一体どれだけのHP消費を……!?
 
 そして吹き飛んだ体を立て直し、再びユミルを視界に捕らえた時…………俺は言葉を失った。
 その体はから迸るデモンヘイトは…………もう、目視では全く赤みが見えないほどの……激しい漆黒に染まっていた。
 既にそのユミルは、腰を抜けたように時折転びながら逃げているデイドに追いつこうとしていた。
 吹き飛ばされたこの場所からでは……もう、間に合わない……!!

「〜〜〜〜っ……!!」

 だが……まだだ!
 ユミルには届くはずだ! 言葉が……!
 それは、俺の言葉じゃない……

「ユミルッ!! お前はそれでいいのかっ!?」

 俺は、デイドに渾身にして決死の一撃を放とうとしている狂乱のユミルに叫ぶ。

「お前はっ、ルビーを殺したあいつらと同じ人間になってもいいのかっ!!!?」

 しかしユミルがデイドに迫り、それにひるんだデイドは転び、絶望の叫び声を上げた。ユミルはそこに狙いを付ける。

「うわぁああああっ!?」

 振り上げられた大鎌の爪先が、デイドの顔面へと振り下ろされる――!!

「――喰らえデイドォォオ"オ"!!」
「――ベリーとルビーはッ……!!」

 俺達は同時に息を大きく吸い――


「――――ベリーの
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