44:狂乱
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《・》黄色だったはずだ。
それがユミルと戦う直前までには、いつの間にかピュアレッド……真紅に近い色合いになっていた。
そして今では……赤黒い、血が固まったかのような不気味な色合いだ。
《デモンヘイト》は他のスキルとは一線を画す、余りに異端なスキルだ。考えてみればエフェクトも独自なものであってもおかしくはない。
――だが、しかし……この背に走る悪寒はなんだ?
これまで様々な窮地で不本意ながら発揮されてきた俺の直感が、ここでも俺に何かを訴えかけている。
考えろ、考えろ……桐ヶ谷和人。
もしかすると……この変色は《デモンヘイト》のスキル持続時間の限界が訪れているという、使用者に対しての警告なのか?
……いや、それは無い。
SAOではステータス上昇効果を得た後に、それと同じ行為による同じ効果を得られた場合……他の多くのMMOタイトルと同じく、その効果が二乗されるわけではなくその持続時間がリセット、または加算される方式なのだ。よって、先程からデモンヘイトを頻発させていたユミルのステータス上昇効果が切れるのはまだ先なはずだ。
加えて、ユミルにとってこのスキルの持続時間の管理は、この戦いにおいて最重要事項である。いくら狂乱しているとはいえ、そのようなヘマをするヤツではないのはこの場の誰もが心得ている。
……違う。俺の直感は、そんな点について俺に警告してはいない。
もっと、簡単な……
そう……目の前に起きている、この変色現象……。
それを見て、俺は、なにか思い出さないか……?
……黄色、赤黄から、赤へ。
そうだ……俺は、ボス戦を始めとした死線で、何度も目にしてきた筈だ。
そう、それはいつも俺が死に掛ける時に、いつも起きていた現象…………
――HPバーが、注意域から、危険域へと変化する時の――――
「―――――――ッッ!!!?」
その時、背を這っていた悪寒が、戦慄となって一気に体中に突き抜けた。
今のユミルは、やや削れていたHPバーを先の数秒の内にある意味での全回復を完了……見た目だけは満タンのグリーン状態である。
しかし、そのエフェクトの変色を見て……一つの疑問が頭をよぎったのだ。
――ユミルには、あとどれだけの最大HP値が残っている?
……という疑問が。
そう。
今のユミルのエフェクトは赤黒色。
HPバーに、危険域以下の時に変色する危険色などは存在しない。
つまり……
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