第十二話
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しているのはシルバ族全体で8隻。フルント星全体で53隻に過ぎない。
つまりトリマ家は名門氏族中の名門と言える家柄であり、何かと娯楽の少ないフルント社会において、その嫡男の結婚をマスメディアが取り上げないはずも無かった。
「みんなが祝ってくれていると思えば良いじゃないか?」
「……そうだね。うん。素敵なお嫁さんを貰った自慢をする手間が省け──」
『年齢も身長も随分と花婿よりも大きな花嫁さんでしたね』
テレビ画面の中で女性アナウンサーが、そう言って口元を隠しながら厭らしく哂った瞬間、エルシャンはネヴィラの手を振り解いてテレビ画像を映していた3Dフォログラム投影機を蹴り飛ばす。
「…………そうだ。この女殺そう。どうやって殺そうかな? 生まれてきた事を後悔するような殺し方が良いな」
「落ち着けエルシャン!」
まるで今日の晩ご飯は何にするかみたいな口調で殺人計画を練りながら部屋を出ようとするエルシャンを再び背後から捕獲すると顎の下から胸元まで上下に擦って落ち着かせる。
「離して! 天誅を、天誅を食らわせてやるんだから!」
最初はそう叫びながら抵抗したエルシャンだが、繰り返し擦られる内に次第に気持ち良さそうに鼻を鳴らして尻尾を振りだす。
「よ〜し、よしよし。落ち着いたな」
「……悔しい。あんな女に、あんな女なんかがネヴィラを馬鹿にするなんて。尻尾にウンコ付けてるような女の癖に」
別に尻尾にウンコは付けてないだろうと思いつつも、自分のために涙を浮かべて悔しがる夫の様子に嬉しくて仕方なかった。
「私は君と結婚できて幸せだ。世界の誰よりも幸せなんだ。だから私より幸せではない誰かに何を言われても、負け犬の遠吠えにしか聞こえない」
そう言って優しく微笑む妻の顔が目の前にある。エルシャンは彼女の首に両腕を回して引き寄せると頬を重ねて「僕の方が幸せだから」などと臭くて死にそうな台詞を囁く。
結局良い雰囲気になってしまった2人は、そのまま初夜に突入してしまうのだが、盛り上がりすぎたエルシャンは、犬だけに後背位とそのバリエーション一辺倒だったフルントの夜の歴史書に新たなページを何枚も挿入することになるのだが以下148500文字に渡り割愛する。
ところがそんな事ではすまない人がいた。ポアーチである。
「…………うん、この女殺そう。どうやって殺そうかな? 生まれてきた事を後悔するような殺し方が良いな」
偶然同じ番組を目にしてしまった彼は息子と同じ事を口にする。
エルシャンと違って、フルント人としてのメンタリティー100%のポアーチにとり、単に息子の嫁を侮辱されただけに留まらない。名門氏族の当主として一族の誇りを傷つけられたのであった。
名門氏族が機動要塞の購入に身銭を切って身代を潰し、代々の当主が自らの稼ぎまで突っ込んで
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