第4章 聖痕
第30話 アルビオン編の後日談
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いますよ。その時は宜しくお願いします」
……と伝えた。
もっとも、今回のような厄介で危険な事件に巻き込まれるのは、本音を言うと、もう勘弁して欲しいのですが。
実際、運が悪ければ、何処かの戦闘で死亡していた可能性だって有るのですから。
特に、一番ヤバかったのは、ティンダロスの猟犬との戦いでしょうか。
「あぁ、俺は金払いの良い雇い主は嫌いじゃないからな」
そう言いながら、少し嗤う巨漢の傭兵。
そして少し屈んで、俺の耳にだけ聞こえる声で更に、こう続けた。
「あの娘は、ガリアの王族だな、坊主」
ニヤリと嗤うラウル。但し、これは今までとは少し質が違う嗤い。もっとも、陰に属するタイプの嗤いではないように感じますが。
……この嗤いは、多分、悪戯坊主の笑いに近いな。
一瞬、虚を突かれて、少し反応が遅れる俺。
尚、タバサの方には聞こえて居なかったのか、まったく反応はしませんでした。
いや、もしかすると、彼女の頭の中では王家の一員で有る事をはく奪された時から、そんな事など気にして無かったのかも知れませんが。
「あの髪の毛の色は、ガリア王家の一員にしか現れない色だからな」
少し嗤いながら、ラウルが種明かしを行った。相変わらず、少し屈んだ姿勢のままで。
……って言うか、180近い身長が有る俺に耳打ちする為に少し屈む必要が有る人類と言うのにも、早々出会えないとは思うのですが。
それにしても、言われて見ると、この世界の人間にもかなりの人数に出会って来たけど、確かに蒼の髪の毛を持つのはタバサただ一人でした。
珍しいと言われて居る黒髪でさえ、シエスタとギトー先生のふたりは存在して居ましたし。
後、ツェルプストーの赤毛と言うのも、一族を指し示す目印みたいな扱いらしいですから、蒼髪がガリア王家を示すトレード・マークだったとしても不思議ではないですか。
……と言う事は、実は、彼女が魔法学院で名乗っている偽名など意味を為していない可能性も有る、と言う事に成ると思うのですが。
何故ならば、ガリアの王弟が不慮の事故で死亡した後のガリア国内でのゴタゴタは、積極的に情報を集めていない貴族でも知っているレベルの情報のはずです。
そして、同時にタバサの周辺に友人と言えるのがキュルケ一人しか居ず、更に、彼女の美貌に目がくらんだ男子生徒が一人も居ない理由にも、ようやく納得出来ましたね。
偽名の蒼髪の留学生がガリアの王族ならば、彼女の周辺は危険だと、ある程度の情報を収集している貴族なら知っているはずですから。
「そして坊主が王族専属の護衛騎士と言う訳か」
更に、ラウルがそう聞いて来た。
尚、この部分に関しての彼の予想は少しずれた認識なのですが、それで
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