第4章 聖痕
第30話 アルビオン編の後日談
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一瞬のタイムラグの後、翼ある竜の背に転移する俺達。
鉄と赤い生命の源が支配する世界から、満天の星と、少しずれた蒼と紅が存在するだけの夜の静寂が支配する世界へと、無事に帰還を果たす。
まぁ、何にせよ、虎口を脱したのは間違いないでしょう。
「ありがとう、助かったよ」
戦闘時の緊張を解いた才人が日本刀と鞘に戻しながら、そう感謝の言葉を掛けて来ました。
それと同時に、夜の闇の中で尚、光り輝いていた左手甲のルーンが輝きを失った。
成るほど。矢張り、この使い魔のルーンが伝説の使い魔としての能力の源となるのでしょうね。
ただ、俺の知って居るルーン魔法とは違う形態の魔法ですから、単純にアース神族の加護により発動している訳では無いようなのですが。
アース神族は多神教。唯一絶対神のブリミル教とは相容れない思想の元に出来上がった神話体系です。まして、この使い魔のルーンや、系統魔法と呼ばれる魔法の発動がアース神族の加護に因る物ならば、この世界にオーディンやその他の神々の神話が残っていなければならないのですが……。
確かに、月の呼び名などにそれらしき物は残っているのですが、その呼び名の元と成った神の物語については、俺は聞いてはいません。
そう。まるで、地球世界の十字教により、土着の宗教が駆逐され、古き神々が悪魔として貶められて行った結果の世界のような……。
もっとも、今は未だ情報不足なので、この辺りについては何とも言えませんか。
「何を水臭い事を言う取るんや。友達がピンチに陥っているのが判っていて、そこに駆け付けんヤツは居らんでしょうが」
少し、茶化した雰囲気でそう答える俺。それに大した事を為した訳でもないですし、友達を助けに行くのはそう不思議な事でも有りません。
もっとも、もう少し早い内に一行を発見出来たのなら、もっと安全な形で、更に衆人環視の中で転移魔法を使用するような危険なマネもせずに救出する事が出来たとも思うのですが。
例えば、あの城の内部に居た時に発見していたのなら、彼らが何処かの部屋に逃げ込んだ時に、その室内に転移した後に救出。アルビオン貴族派の兵士が部屋に乱入して来た時には、その室内はマリー・セレスト号状態、と言う結果にも出来たのですが。
……つまり、俺は万能の存在でも無ければ、天才でもないと言う事に成りますか。
もう少し、能力が高いと思っていたのですが、現実は何時も厳しいみたいです。
「そう言う割には、かなり、登場のタイミングを見極めていたようなタイミングでの登場だったけど」
一番痛い部分にツッコミを入れてくる才人。流石に、このツッコミは、生命が助かった事に因り、かなりの余裕が生まれた結果の台詞でしょう。
それに、
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