第3章 白き浮遊島(うきしま)
第29話 死体を飲み込むモノ
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い事をウダウダと考え始める俺。
すると……。
……ん? タバサが治療の手を止めて、俺の顔をじっと見つめていますけど、何時の間にか治療は終わっていたのでしょうか。
そう思い、明後日の方向に行き掛けた思考を無理矢理軌道修正して、右手首の内側に視線を移す俺。
しかし、そこには治療前と同じように、紫色に変色した傷痕が未だ残っているのですが。
「ごめんなさい」
タバサが謝って来る。かなりの後悔に彩られた気を発しながら……。
これは、かなり気にしている雰囲気が有りますか。
確かに、逆の立場として考えたら、俺の身を守ろうとして彼女が傷付けば、俺も同じように感じると思いますから、これはそう不思議な対応でも無いのですが。
それでも、そんなに気にする必要はないのですが。
「いや、別に謝る必要はないんやけど。それに、組織自体が壊死していると言う感じでもないし、そこだけ、妙な痣のように成っていると言うだけやから問題はないと思うで。
せやから、心配する必要もないし、謝る必要は最初からない」
その紫色に変色した傷痕の部分を触った感触も、別に他の部分との違いを感じる訳でもない。それに、霊力を放出した際も、ここの部分を通って放出されているはずなのに何の違和感も無かった。
刀を振るった時の感覚も同じ。この状態なら問題はないでしょう。
「それに、ヤツらの持っている毒が、こんな状態に成るほどの猛毒だったと言う事は、矢張り、タバサに直接当たらなかった事の方が俺としては良かったと思っているんやから、気にする必要はまったくない」
確かに、伝承の中でも、ティンダロスの猟犬が持つ毒については、かなりの毒だと言う表記が有ったと思いますから、このぐらいの傷痕が一時的に残ったとしても仕方が有りません。
それに、細胞自体が壊死はしていないと思いますから、その内に新しい細胞に置き換えられて行くはずです。しばらくは傷痕が残る可能性も有りますけど、男の子ですから、少々の傷は気にしませんよ。
少なくとも、女の子の顔に傷が残るよりは、俺の身体に残る方がマシですし、傷が有った方が、少しは歴戦の勇者みたい見えるかも知れないですから。
そう考えるならば、この問題は俺的には解決です。そうしたら次は……。
「サラマンダー」
紅玉に封じられしサラマンダーを現界させる俺。流石に、今すぐにワイバーンを召喚してアルビオンに向けて出発出来るほどの体力も、そして霊力も残っている訳では有りません。
それに、タバサも出発を認めてはくれませんでしょうし、そもそも、彼女にも休んで貰う必要が有りますから。
「そうしたら、サラマンダー。俺が眠っている間、タバサの護衛を頼むな」
この部屋は魔が侵入するのが不可能な結
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