第3章 白き浮遊島(うきしま)
第29話 死体を飲み込むモノ
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かの意味が有って、ワルドの姿形を模した存在だったのかは判らなくなったのですが。
ただ、伝承に因っては、フレースヴェルグはその魂を得た存在と同じ姿形を模す事も出来る、と言う伝承が有ったような記憶も有ります。
つまり、今夜の騒動の最中に単独行動中だったワルド子爵が何らかの形で命を落とした後に、彼の死体と魂をフレースヴェルグが得て、その姿形を奪われた可能性も有るので、今のトコロは何とも言えないのですが。
「アガレス」
まぁ、今は前向きに進みましょうか。
この目の前で消えて行った存在がフレースヴェルグなら、こいつが消えた今は蘇生魔法が使用可能となる可能性が高いでしょう。フレースヴェルグが奪った死せる魂は、彼が滅せられた事によって解放されているはずですからね。
ならば、本来死すべき定めに無かった魂で、死体の損壊が酷くない状態の人間ならば、蘇生させる事は可能と成っているはずですから。
そう少しだけ前向きに考え、魔将アガレスを召喚する俺。
そんな俺の行動を黙って見つめるタバサ。この感覚は、……少し消極的な負の感情の籠った否定ですか。
そして……。
……確かに、彼女の言いたい事は判ります。
俺は多分、無理をしています。そして、その部分をタバサが気に掛けて居る事にも気付いてはいます。
それでも、今ここで出来る事を見過ごす事も出来ないでしょう。
それに、助けられる生命なら助けるべきですし、助ける努力はすべきだと思いますから。
例え、それが偽善に塗れていたとしても、所詮は自己満足に過ぎなくても。
「もう少し頑張ったら、少し休めると思う。それまで、もうひと頑張りと言う事やな」
俺の、かなり言い訳じみた台詞に対して、俺の蒼き姫君は……。
長かった夜が、ようやく明け始めた朝の光を、少し哀しそうな雰囲気を発しながら、ただ、見つめるだけでした。
☆★☆★☆
結局、現れた魔物達の対処に午前中いっぱいは掛かり、ようやく休憩が取れるようになったのは昼近くの時間と成っていました。
それで、夕食を取る前にこの騒動に巻き込まれたから、今、食べているハルファスに用意して貰ったコンビニ弁当が、昨日の昼食以来の食事と言う事に成りますかね。
……確かに、これは、かなり過酷な労働環境のような気もしますね。
更に言うと、これで全て終えて、後は魔法学院の方に帰るだけ、と言う訳には行かないのですから。
「せやけど、この世界の亜人。ドヴェルグやトロールはかなり凶暴な亜人と言う事やったんやな」
俺が誰に問う訳でもなく、そう独り言のように呟く。尚、流石にこの場でハルファスが用意してくれた食べ物は、俺のお弁当以外は、オムスビやその他のお箸を使用しなくても食べられる食べ
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