第3章 白き浮遊島(うきしま)
第28話 ラグナロク?
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、積極的に前に向いて進んだ方が活路も開けるとも思いますしね。少なくとも、二階、三階に残っている生き残りの泊り客には、俺達がここから離れたとしても害は少ないはずですから。
何故ならば、階段自体に結界を施して有りますから、残された侵入口は各部屋の窓だけ。
それぐらいの侵入経路なら、彼ら自身が貴族……魔法使いでしたから、自らの身を守るある程度の方法は持っているはずでしょう。
この宿屋内では、ここに居る四人が、最後の精兵と言う訳では有りませんから。
「そうしたら、さっさと表に向かいますか」
俺のかなり軽い調子のその言葉に、その場に残った一同が無言で首肯いたのでした。
☆★☆★☆
軽く、両手以上の魔物の相手をさせられた後、ようやく屋外の風を感じられる場所に到達した俺達だったのですが……。
外は……屋内以上に酷い有様でした。
「あれって港の方じゃない?」
天中に煌々と輝く青白き月に対比するかのように、昼間の如き明るさで夜空を焦がし続けている炎は、街の方ではなく、立体的な形で組み上げられた飛空船用の木製の桟橋が燃えている炎で有った。
確かに、石材を中心に造り上げられた街よりは、木製の桟橋の方が燃えやすいのでしょうが、それにしても……。
ルイズ達は無事に港に辿り着いていても、船自体がダメになっている可能性も有りますか。この炎の勢いから考えるのならば。
刹那、タバサの魔術師の杖が振られ、俺達に向かって飛びかかろうとしていた数頭の赤い巨大なオオカミが氷の刃で斬り裂かれ、その身体と同じ色の飛沫を上げた。
見た目はオオカミに似ていて赤い身体。
コイツらは、伝承上に残るガルムに似ているような気がするのですけど……。
トロール。ドヴェルグ。それに、ガルム?
「なぁ、タバサ。この街に有る船の接岸用の桟橋は、確か世界樹とか言う、巨大な樹の再利用とか言っていたよな」
俺の問いに、首肯いて答えるタバサ。……って言うか、その世界樹と言うのが、この規模の飛行船用の桟橋を作る事が出来るサイズだと言う事も驚きなのですが、今はそれドコロでは有りません。
世界樹が燃えている。これは、もしかするとラグナロクの再現なのか?
そうだとすると、世界樹に火を放つのは炎の巨人スルトなのですが……。
「取り敢えず、ルイズ達の後を追う。ここから始めるべきか」
☆★☆★☆
「良い夜だな」
かなり西の空に傾きながらも、そう言うに相応しい光を煌々と放つ双子の衛星を見上げ、そいつは語り掛けて来た。
ごく普通の天気を問うような穏やかな口調、及び雰囲気で。
俺が雇った傭兵や、この街の護衛兵、そして、おそらくは燃えつつ有る船の船員たちと思
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