第3章 白き浮遊島(うきしま)
第28話 ラグナロク?
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おそらくは、少し落ち着きを取り戻して、普段の冷静な彼女に戻ったと言う事なのでしょう。
「それなら、上の階に行ってあの馬鹿犬どもに引導を渡して仕舞うか」
俺が右手を差し出しながら、そうタバサに問い掛けた。もっとも、彼女も花神の浮遊能力を使用すれば、二階から三階に上昇するぐらいなら問題なく出来るのですが。
普段通りの透明な表情で俺の差し出した手を取るタバサ。
もう大丈夫。雰囲気も普段通りの彼女に戻っているように感じます。それに、その前の……才人の部屋から出た後の会話についても、彼女が冷静さを失う遠因に成っている可能性も有りますか。
そんな事を気にする必要などないのに。
……おっと、その前に、人として最低限、口にすべき台詞を行って置く必要が有るな。
「なぁ、タバサ」
彼女の右手を取り、そのまま彼女を抱き上げて床を蹴り浮遊する俺。
そして、
「俺の事を心配してくれて有難うな」
そう短く感謝の言葉を告げる俺。
その言葉を聞いた彼女の反応は……。
☆★☆★☆
自らが作った穴から三階に昇り、辺りを見渡す。
……床には大穴。この階の天井も半分崩れて、周りの壁もかなり被害を受けた状態。
修繕費用をどうするかに付いては、後回しにすべきですか。
そうしたら、吹き飛ばした四頭の魔獣に関しては……。
一当たり、周囲を見渡してみる俺。
ふむ。居ましたね。
一応、ちゃんと四肢は繋がった形、つまり、原型を留めた形で、粉々になった石材の中に、半ば埋まるような形で、四体の魔獣はその動きを完全に止めていました。ただ、この状態から再び動き出すとは、どう考えても思えないのですが……。しかし、それでも、物語自体に魔力が有る以上、不死と言う記述を馬鹿には出来ないですか。
但し、同時に物語に記載されている、一度退散させると、ティンダロスの猟犬は諦める、と言う記述も、同じように強い魔力を持っていると言う事でも有ります。
そう考えながら、四頭の魔獣を生来の重力を操る能力で持ち上げ、破壊に巻き込まれていない床に横たえる俺。
タバサはただ見つめるのみ。彼女は、彼女なりの方法で、奪って仕舞ったのかも知れない生命に対して敬意を表しているのだと思います。
そして、
「さて。これから俺が何をするか見ていてくれるか」
俺のその言葉にこくりとひとつ首肯くタバサ。表情は普段通り。但し、彼女から感じる雰囲気は、かなり興味を覚えているのは間違い有りません。
先ず、五行の呪符を懐から取り出す。そして、
集められた四頭の魔獣の周りに、五行に属する呪符を、とある形の頂点に配置。そして、全ての準備が整った後、その呪符に霊力を注ぎ込んだ。
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