第3章 白き浮遊島(うきしま)
第28話 ラグナロク?
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ルドの台詞に一瞬、気を取られて仕舞った俺。
そして、そんな隙を見逃さず、剣を握る右腕を振るうワルド。
集められしは水の精霊。
そして、その振るわれた剣の軌道をなぞるかのように、放射状に放たれる氷の刃。
しかし、一瞬の隙から立ち直った俺が、タバサに対してアイ・コンタクト。
承諾を意味する【念話】に成っていない気のような物が彼女から返された瞬間、その放射状に放たれた氷の刃に向け突っ込む俺。
本来ならこれは自殺行為。しかし、魔法反射に守られている今は、この一瞬は、好機。
確実に俺を死に誘うはずの氷の刃が俺を捕らえた刹那、空中に浮かぶ防御用と思しき魔法陣。そして、その魔法陣により反転させられ、魔法を放った存在たるワルドを氷の刃が襲う!
しかし、自らの放った氷の刃は、彼の髪の毛一本。派手な羽飾りすら傷つける事は出来ずに、全て精霊の護りにて防がれて仕舞う。
しかし、そんな物は単なるオマケ。目くらましに過ぎない。
俺の間合いに入った刹那、先ほどと同じようにやや下方より斬り上げられた一刀が、ワルドを襲う。
そして、同時に紡がれる口訣。
今度は振り抜かれた形のワルドの長剣が迎撃する事は出来ず、俺の必殺の一刀がワルドを捉えた!
しかし、やや後方に身体を引き、ほんの数センチ。いや、場所によっては数ミリの差で躱されて仕舞う必殺の一撃。
刹那、それまでの高速詠唱とは違う、通常詠唱と導引によって導かれた電撃がワルドを包み込む!
その電撃は、それまで放たれていたそれと、籠められた霊力。そして、想いが違う。
そう。いかな鬼神と言えど、これを退け、どんな魔鳥で有ろうとも一撃で滅する事の出来る必殺の雷。
タバサが召喚せし雷、九天応元雷声普化天尊の雷は、それまで彼女が呼び寄せていた雷公の腕とは神格が違う。
人のすべての生死吉凶禍福を支配すると言われし神の雷が、ただ一点を撃ち貫く。
迎え撃つは、ワルドの精霊の護り。しかし、その護りに今は綻びが存在していた。
そう、俺の攻撃はワルド個人を斬り裂く為に放たれた攻撃では有りません。それは、ヤツの鉄壁の守りと成っていた精霊の護りを斬り裂く為に放たれた一刀。
レンのクモの護りを無効化した仙術を、ただ斬り裂くと言う意志によって強化した一刀。
空間の歪みさえ引き起こす雷が、斬り裂かれた精霊の護りを粉砕し、ただ一点を目指して貫く!
瞬間、音すら消えた。
そして、次の瞬間。
世界は炎が世界を焦がしてはいるが、生者が支配する、通常の世界へと移り変わっていた。
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