第3章 白き浮遊島(うきしま)
第28話 ラグナロク?
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「ちょっと、シノブ。何を勝手な事を言っているのよ。あたしだって、ツェルプストーの名を継ぐ人間」
そう言い放ち、杖を振り、ルーンを唱えるキュルケ。
しかし……。
「ここは、もう、家名などは何の効果も発揮しない世界に成っているんや、キュルケ。
ヤツの見た目はワルド子爵やけど、残念ながら、服装が彼の服装をしていると言うだけで、ホンマの彼かどうかは判らない」
ルーンを唱えながらも、まったく発動しない魔法に驚愕の表情を浮かべるキュルケに対して、ゆっくりとそう告げる俺。
そう。より高位者の前では、精霊は、そちらの指示に従って仕舞うと言う世界の法則に則った正式な反応。
つまり、この目の前の仮面を被ったワルドの服装をした存在は、精霊を従える事が出来る存在だと言う事になる。
「夜を統べる女神に惹かれて、古の彼方から帰り来たのか、それとも、誰かに呼び出されたのかは知らないけど」
彼我の距離は約十メートル。
その距離を一瞬にして詰める俺。アガレスの能力により、自らの時間を操る今の俺の戦闘をこの世界の一般的な生命体から見ると、残像すら確認出来ないレベルのスピードと成る。
但し、同じように精霊を纏い戦う事の出来る存在に取っては、ほぼ互角の能力に過ぎない能力。
「迷惑な話やな、実際!」
下段より斬り上げようとした一刀は、しかし、この世の物とも思えないような美しい音色によって阻まれて仕舞う。
そう、貫く手さえ見せずに払われた長剣の一閃にて、俺の初手は完全に防がれた瞬間であったのだ。
しかし、払われるのは元より承知。その一瞬の隙に、振り下ろされる雷公の腕。
元々、俺の剣は後の先。初手を俺の方から仕掛けた以上、これは囮。本命はタバサによる魔法攻撃。
そして、俺の攻撃の意図を察したで有ろうジョルジュによって、キュルケが戦場から撤退する時間を作る貴重な囮でも有った。
しかし。そう、しかし!
タバサからの雷を自らの纏った精霊の護りで無効化。ヤツの纏いし精霊は、風の精霊。
但し、風の精霊だけなら、完全に雷を無効化するのは難しい。おそらく、同時に水の精霊も支配していると思う。
つまり、こいつは冷気属性を操る存在の可能性が高いと言う事。
もっとも、冷気属性なら、もっと圧倒的な雷ならば、ヤツの精霊の護りを粉砕して直接ダメージを与える事は不可能では有りませんが。
……その場合、もう一度、タバサとの精神の同期を行う必要が有るのですが。
「ほう」
最初の交錯の後、やや、距離を置き対峙したワルドの口から感嘆の声が漏れた。
そして……。
「神の頭脳に、ここまでの戦闘能力が有ったとは驚きだな」
神の頭脳?
そんな、ワ
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