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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第28話 ラグナロク?
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は、不死の相手だから倒す事は難しいので追い払うしかない、と言う事だとは思いますし、厳密に言うと、絶対に死ぬ事のない不死と言うよりは、常に回復を続けるタイプの生命体だとは思うのですが……。
 それで、俺としては追い払う為に次元孔。つまり、送還用のゲートを開いて、ティンダロスの猟犬たちを、彼らの元々居た世界に強制送還させる心算なのです。

 もっとも、俺の術は何処の世界に向かって次元孔が開くか判らない、安定しない術なので、少し問題が有るのですが……。

 但し、試さないで、もし、ティンダロスの猟犬たちが伝承通り不死身の存在だった場合は、非常にマズイ状況……つまり、永久に、俺かタバサ。もしくはその両方が狙われ続ける結果と成りますので、試しては見る心算なのですが。

 治癒魔法を行使している最中なので、俺の右腕から視線を外す事なく、一度小さく首肯くのみで答えと為すタバサ。

 その仕草は、非常に彼女らしい仕草だとは思うのですが、偶には、実際の声に出して返事をして貰いたいとも思うのですよね、俺としては。

 それで無ければ、俺は常に彼女、つまり、タバサの反応を見ていなければ成らなくなりますから。
 まるで、恋する相手を常に視線で追っているみたいな気分。幼い子供が、常に自らの母親を瞳に映していなければ不安になる状態。そんな気さえして来るので、出来る事ならば、言葉で返事を貰えた方が非常に有り難い時も有るのですが……。

 もっとも、今は俺の治療をしている最中ですから、仕方がないと言えば、仕方がないのですが。

 そんな、今のトコロはどうでも良い事をウダウダと考えながら、それから時計の秒針が軽く二回りするほどの時間が経過。
 しかし、未だ、治療は終わらず。
 ……少し、治療に時間が掛かり過ぎているような気がするのですが。

 そう思い、治療中のタバサの手元を覗き込む俺。
 其処。……タバサが治癒魔法を施している俺の右腕は、既に大半の部分が元通り綺麗な肌の状態に戻って居るように見えます。ただ、一か所。タバサが治療を行っている俺の右腕。その手首の内側の部分に、ほんの少しの傷痕のような物が残って居た。

 ここは確か、最初にティンダロスの猟犬の舌が命中した部分ですか。

 赤黒く変色していた傷が、どちらかと言うと紫色に近い傷痕にまで戻っては居るのですが、それでも最後の部分で、何故か頑健に元の肌の色に戻るのを拒否している。そんな雰囲気さえ漂わせている傷痕を、かなり真剣な表情で見つめ、治療を施すタバサ。
 おそらく、【念話】によって、水の乙女や森の乙女に状態を尋ねながら治療を施していると思いますので、ただ無暗矢鱈と霊力を消費している訳ではないでしょうし、かなり的確な治療を施しているはずです。

 しかし、ここが最初に傷つけられた
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