正体
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望みは何だ?」
「私は……私は……」
ユイは、ゲツガたちのほうに細い腕をいっぱいに伸ばして叫んだ。
「ずっとみなさんと、一緒にいたいです……パパ、ママ、お姉ちゃん、お兄ちゃん!!」
アスナとユキは近づいてきたユイをぎゅっと抱きしめた。
「ずっと……ずっと一緒だよ、ユイちゃん」
「私たちはいつまでも一緒だよ」
少し遅れてキリトはユイとアスナ、ゲツガは、ユキとユイを包み込む。
「ああ……。ユイは俺たちの子供だ。家に帰ろう。みんなで暮らそう……いつまでも……」
だがユイは腕の中で首を振った。
「「え……」」
アスナとユキが声を上げる。
「もう……遅いんです」
キリトが戸惑ったような声で訊ねる。
「何でだよ……遅いって……」
「私が記憶を取り戻したのは……あの石のせいなんです」
そしてユイは中央に鎮座する石を指差す。
「私は、ゲツガさんがここに退避させたとき、ゲツガさんが待ってるようにと言ってこの石に乗せました。そして、知りました。あれは、ただの装置的オブジェクトではなく……GMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールなんです」
ユイの言葉によって黒い石に突然数本の光の筋が走った。そして、キーボードが浮かび上がる。
「さっきのボスモンスターは、ここにプレイヤーを近づけないようによって配置されたものだと思います。普通のプレイヤーでは倒せないように……」
そう言ってユイはゲツガの方を向いて、言った。
「ゲツガさん……あなたには一ついっておかなければなりません……」
ゲツガは抱きしめていた身体を離し、ユイをまっすぐ見る。
「ゲツガさん、あなたの仮想体は、ウィルスに感染しています」
ユイは溜めもなしに言った。
「そうか……」
「はい。しかも、アバターはウィルスに侵食されていて、幾つかのあなたを守るシステムが再起不能になっています」
「……」
ゲツガは、ユイの話を黙って聞いた。
「私が最初怖がっていた理由はそのせいです。今は、安全と理解しているから大丈夫なんですけど、ここからが大事です」
ユイの顔が険しくなる。
「あなたの中に居るウィルスは一度、カーディナルによって削除されたと思いました。私がちょうどノイズが走った時と同時に。そして、どうやってかは解りませんが私をコンソールに座らせた時に、私を通してゲツガさんの身体に戻ってきました。より強力になって……。その結果、もう一度あのモンスターを倒そうとした力を使うようなことがあれば、仮想体は完全に侵食され、カーディナルがゲツガさんを完全にバグと判断し、削除されます」
「そ……そんな
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