正体
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
ゲツガたちは安全エリアに戻り、ユイを無言のまま見つめている。記憶が戻った、と言ってから、数分も黙ったままだ。ユイの表情はとても悲しそうだ。意を決したようにアスナがユイに訊ねる。
「ユイちゃん……。思い出したの……?今までの、こと……」
ユイはしばらく俯いていたが、しばらくしてこくりと頷く。泣き笑いのような表情のまま、口を開く。
「はい……。全部、説明します……キリトさん、アスナさん、ユキさん、ゲツガさん」
そして、ユイの言葉が安全エリアに響く。
「《ソードアート・オンライン》という名のこの世界は、一つの巨大なシステムによって制御されています。システムの名は、《カーディナル》、それが、この世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しています。カーディナルはもともと、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。二つのコアプログラムが相互のエラーの修正を行い、更に無数の下位プログラム群によって世界の全て調整する。モンスターやNPCのAI,アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナル指揮下のプログラム群に操作されています。しかし、一つだけ人間の手に委ねなければならないものがありました」
「人間の精神……メンタル面だな」
ゲツガがそう言うとユイはこくりと頷く。
「GM……」
キリトが呟く。
「ユイ、つまり君はゲームマスターなのか?アーガスのスタッフ……?」
ユイは数秒間沈黙したあと、首を横に振った。
「カーディナルの開発者たちは、プレイヤーのケアすらもシステムにすら委ねようと、あるプログラム作成したのです。ナーヴギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題の抱えたプレイヤーのもとに訪れて話を聞く……。《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》MHCP試作1号、コードネーム《Yui》。それが私です」
その言葉にユキとアスナは息を呑む。そしてかすれた声で訊ねた。
「そ、そんな……ユイちゃん……嘘……だよね……」
「プログラム……?AIだって言うの……?」
ユイは悲しそうな笑顔のまま頷く。
「プレイヤーたちに違和感を与えないように、私には感情模倣機能が与えられています。……偽者なんです、全部……この涙も……。ごめんなさい、アスナさん、ユキさん」
ユキとアスナはユイにそっと歩み寄り、手を差し伸べる。しかし、ユイは首横にを振って拒んだ。ユイはアスナとユキからの抱擁を受ける資格がないといったように。
いまだ信じることが出来ないといった、ユキとアスナは言葉を絞り出す。
「でも……でも、記憶がなかったのは何で?」
「そ、そうだよ、AIにはそんなこと起きないんじゃ……」
「二年前……。正式サービ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ