第八十話 女王としての意地
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た。
「斬艦刀、雷光斬り!」
「オオッ!」
その巨大な剣が一閃される。それはククルとて避けられるものではなかった。
マガルガを一閃した。しかしマガルガは傷一つ負ってはいなかった。
「これは」
「我が斬艦刀に断てぬものなし」
ゼンガーは言った。
「それが束縛であったとしてもな」
「束縛」
「ククル、思い出すのだ」
彼はククルを見据えていた。
「その心をな」
「ヌッ!?」
その瞬間何かが変わった。
ククルの脳裏に何かが浮かんできた。そしてそれは彼女の心を打っていた。
「これは」
「見えたか、真の己の姿が」
「わらわは・・・・・・」
記憶が甦ってくる。自分の心が。
ククルはこの国がまだ日本と呼ばれる遥か前に生まれた。神武帝もまだおられぬ神話の時代。その時代に生まれた。名も知られていない古い国に生まれた。人の国だった。だが後にまつろわぬ民とされた邪魔大王国に攻められ国は滅んだのであった。
その時ククルの両親も殺された。本来ならばククルも殺される筈だった。だが彼女の類稀なる力を感じたヒミカは彼女を生かすことにしたのだ。自らの手駒として。
そして記憶を封印し自らの手許に置いた。邪魔大王国の為に。この時から彼女は邪魔大王国の者となった。ヒミカの傀儡となったのだ。そしてヒミカが鋼鉄ジーグに倒されるとその後を継いだ。それがククルのそれまでの姿なのであった。
「わかったか、己の真の姿が」
「わらわは人だった」
ククルは呟いた。
「邪魔大王国の者ではなかったのだ」
「今邪魔大王国は滅んだ」
ゼンガーは言った。
「御前が束縛から解き放たれたことによりな」
「滅んだか」
「そして御前は全てを知った筈だ」
「うむ」
ククルは頷いた。
「わらわは・・・・・・利用されていた」
そして言った。
「ヒミカに。そしてミケーネの者達に。そして同胞である人間と戦っていたのだ」
「それは貴様の責任ではない」
しかしゼンガーはそれは問題とはしなかった。
「御前は操られていたのだ。全てはな」
「だが」
「その過去を償いたいのか」
「・・・・・・・・・」
ククルは答えない。ただ俯いているだけであった。
「そう思うならば戦うのだ」
「戦う」
「そうだ」
ゼンガーは言った。
「人に刃を向ける者達と。それが償いの道の一つだ」
「このマガルガでか」
「俺は言わぬ。全ては貴様が決めることだ」
ゼンガーは突き放すようにして言った。
「全てはな。どうするのか」
「考えさせてくれ」
ククルは答えた。
「暫し。いずれ答えは出す」
「そうか」
「それまでの間、さらばだ。また会おう」
そう言って再び動きはじめた。154
ククルは飛び立った。そのまま何処かへと消え去った。そして戦いは終わった。ゼンガーはそれを一人飛
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