第16話 初めての失敗と…
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てこれがその代償、自分たちが慢心してしまったために起こした事態と考えてしまっていた。
「こんなこと、あっちゃいけない……!」
と、なのは達が後悔に沈んでいると、いきなりギリ、と音が奥歯を噛みしめる音が聞こえてきた。慌てて考えを中断して声の方を向く。
なのは達の視線の先にいた純吾は、激しい怒りと憎悪の混ざり合った、今までにないほどの敵意をこめた瞳をもって目の前に広がる大樹を睨みつけていた。
いつもの眠たげな細い目は明確な敵意によって鋭くなり、爪が手のひらに食い込まんばかりに拳を握りしめ、親の仇か不倶戴天の敵を見るかのように大樹へ刺すような視線を送っている。
その純吾の様子に自分たちの後悔も忘れて、なのはもユーノも息をのんだ。
彼は彼女たちの知っている限りいつも朴訥として、のほほんとこちらの気分も穏やかになれるような空気を纏っていた。
争う事が嫌いとも言っていた。そして、それでも自分たちを守ってくれると言ってくれたときは本当に嬉しく思ってしまった事を覚えているし、今日も眠たい中料理を振る舞ってくれ、自分たちが食べる様をのほほんと嬉しそうな雰囲気で見守ってくれていた。
そんな彼が、いつもぼんやりとしていて、自分たちにとても優しいはずだった彼が、あそこまで敵意をむき出しにしている。
その豹変ぶりに驚いている所に、いきなり視線を向けて来るなんて事をされたら、なのはがその目が怖くなって少し引いてしまったのは仕方ないだろう。
「なのは……、絶対にあれは止める。止めないと、いけない」
――だから、お願い。と
けれども先程までの感情とは全く違った理由から震える瞳で、悲しみに震える拳を握りながらそう彼女に頼んでくる彼を見て、なのはは少しでも彼を怖がったことを後悔した。
この状態をどうにかしようとして、けれども自分ではどうにもできないことに対する怒り。自分ではどうにもできず、なのはに頼むことしかできないことに対する悲しみ。
彼は目の前の樹だけでなく、自分へもその溢れんばかりの激情を向けていたのだ。
そんな彼を目の前にして、どうしてただ後悔に浸っている事が出来るだろうか?
「……待ってて純吾君! 絶対に元を見つけて封印して見せるの!」
『Area search』
なのはの声と共に、レイジングハートが新しい魔法陣を展開し、何十という光を街のあちこちに飛ばしていった。
「これは広域探査魔法……。すごい、独自に魔法を展開できるなんて」
「今それは置いといて! 純吾君」
魔法の制御に集中しながらも、純吾の方を向く。
「初めて使う魔法だから、時間がどうしてもかかっちゃうの。だから、純吾君はこれ以上街に被害がでないようにしてほしいの!」
それに
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