第16話 初めての失敗と…
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線を送っているのは仕方のない事だろう。
どちらにせよ、とてもこちらが話しかけられる状態ではなかった。
と、そう考えているとキーパーの少年と、マネージャーの少女がいなくなっていた。どうやら他のメンバーより先に帰ってしまったようだ。
「(もしかして……。こ、告白するために先に帰ったのかなぁ)」
試合終了直後の仲が良さそうな雰囲気、そしてあの綺麗な石を真剣に見つめる少年の姿を思い出す。
試合に勝てたらあの子に告白しよう、なんて考えていたのかもしれないが、そう考えるのならば彼が綺麗な石の一つや二つ持っていても何も不自然な事はないだろう。
ふと、すずかは視線で純吾を追いながら、そんな事を考えている事に気がついた。
視線の先で、料理を配り終えた彼がリリーに抱きつかれ、ぐわんぐわんとまるで小さい子供にするようにして頭を撫でまわされて好きな様にされている。
それを見ていると、胸のあたりにもやもやが出てきて、何だがとても面白くない気分になってしまう。
「(って、何考えてるんだろ私……)」
顔がかぁっ、と赤くなったのが分かる。別に彼が誰といようが、それは彼の勝手だし、何よりリリーは彼の一番の理解者だ。
そんな彼女と純吾が一緒の所を見て不機嫌になるなんて、まるで自分が嫉妬をしているみたいで……
「(と、とにかく! キーパーの人もいなくなったんだし! この事はもう終わりっ!!)」
そう自分の中で無理やりに結論を下し、すずかは彼女の事を不思議そうな顔をしてみている友人二人に慌てて弁解を始めるのだった。
それは突然、文字通り辺りを揺るがす轟音と、巨大な光柱と共に現れた。
サッカーチームの面々も帰り、純吾も試作した料理の仕出しと後片付けが終わってなのは達と合流し、一つのテーブルでくつろいでいた時である。
ミジミジビシィ……!!
と無理やり何かが殻を押し上げ、壊しながら突き上げてくるような音が突然辺りに響き渡ったのである。
「な、何なのこの音っ!」
テーブルに突っ伏して、正に寝耳に水だったなのはが慌てて飛び起きた。その際、地震のせいですてん! と椅子から転がり落ちてしまったが、誰もそれを笑う余裕は無い。
「わ、分からないわよ! でも店の外から聞こえてきてるわ」
アリサも轟音と揺れに若干パニックになりながらもそう断言する。
誰もが突然の地震に驚いている中、純吾だけが素早く行動を起こした。アリサの言葉が聞こえた途端、さっきまでなのはと同じようにだらけていた彼は、弾かれたような勢いで外に飛び出していったのだ。
「あっ、待って純吾君!」
いつにない素早い行動に驚きながらもすずかが後を追う。彼の後から店を出て、真っ先に目に
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