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八条学園怪異譚
第四話 ターニングポイントその十二
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「それとお経に破魔矢」
「そう、そういったのをね」
「全部持って行くのね」
「そうしてね」
 聖花もかなり真剣だ。そこには冗談はなかった。
「二人共ね」
「破魔矢二本?」
「一人で一本ずつね」
「何か神社の人が喜びそうね」
 経済的にという意味だ。
「色々買ってもらって」
「お金の話?」
「お金って大事じゃない」
 これ程までとは少し変わった真剣さを見せて言う愛実だった。
「だって。いい食材を買うのもお金よ」
「お店の話ね」
「勿論生きる為に必要ではあるけれど」
「まずはそれなのね」
「そう。お金がないとお店だって動かないのよ」 
「それはそうね」
「お金って大事だから」
「愛実ちゃん昔からお金のことについては物凄く真剣よね」
 実は聖花もだ。この辺りお店の娘だけはある。
「私もだけれど」
「うん。何か神社の人達が喜びそう」
「さっき木刀って言ったのは中華街で売ってる桃の木刀のことだったけれどあれも二本買うつもりだったのよ」
 それが破魔矢になったのである。
「道教のね。向こうでも桃ってそうした存在に強いみたいだから」
「それでだったの」
「そう。けれどまあここは破魔矢にして」
「破魔矢と木刀どっちが高いの?」
「破魔矢じゃないかしら。けれど木刀は半分観光の品だから」
 今二人が考えている退魔の効用はどうかというのだ。
「あまりね」
「期待できないのね」
「うん、だから破魔矢がいいって思って」
 それで破魔矢にしたが値段についてはというのだ。
「けれど高いわね」
「そうよね。神社の人喜びそうね」
「お経も買うものだから」
「全部お金かかるのね」
「けれどね。刀で首をばっさりといかれない為には」
 またこの話になる。
「必要よ」
「備えがあれば」
「そう、憂いなしよ」
 それでだとだ。聖花は今はしっかりしている。
「だからどうかしら」
「そうね。幽霊だからね」
「全部絶対に必要よね」
「そう。全部買おう」
「わかったわ。私も死にたくないから」
 それでだとだ。愛実も真剣な顔で頷く。
 そうしてだった。二人で水産科に行く前にだ。
 まずは八条神社に入った。明治神宮や住吉大社と比べても遜色はない位に大きく見事なその中に入ってである。
 その中でだ。二人はまずは。
 お守りを買った。次にお札も。それに破魔矢も買った。
 全て買ってからだ。愛実はそうしたものを手にしてこう聖花に尋ねた。無論彼女もそうしたものを全て手にしている。
「これで後は」
「お寺よ」
「お経よね」
「神道だけじゃなくてね」
 仏教もだというのだ。
「ちゃんと備えていないとね」
「首をばっさりと」
「そう。幽霊に殺されたくないわよね」
「誰にも殺されたくないから」

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