暁 〜小説投稿サイト〜
八条学園怪異譚
第四話 ターニングポイントその一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

                第四話  ターニングポイント
 愛実は聖花と共にいた。だが。
 その心は次第に曇っていった。それは聖花を見ているからだ。
 テストをすればだ。中間テストでは。
「うわ、トップじゃない」
「林田さんダントツよ」
 学校の壁に張り出された成績の上位結果者のトップにだ。聖花の名前があった。その総合得点も載せられているがそれもだった。
「殆ど満点で」
「何か凄いわね」
「入試でもトップだったっていうけれどね」
「今も健在ね」
「ううん、何ていうかね」
 クラスメイト達に言われてだ。聖花は困った笑みと共に答えた。
「まあ。勉強はしたけれど」
「それでも?」
「それでもなの」
「あまり褒められてもね」
 そういうことは苦手だというのだ。その困った笑みと共の言葉だった。
 だがそれでもだ。クラスメイト達は聖花にまだ言った。
「トップって凄いわよ」
「そうそうできるものじゃないから」
「期末試験も凄くなるんじゃない?」
「先生も楽しみにしてるわよ」
 クラスメイト達は羨望と共に聖花を見ていた。そしてだった。
 体育の授業でもだ。聖花はバレーボールのレシーブを見事に決める。半ズボンの体操服姿の彼女が華麗に動く。
 それを見てだ。今度は体育館の隣でバスケットボールをしていた男子生徒達が言っていた。
「おい、林田ってスポーツもいいのかよ」
「えらい跳んだな」
「背も高いしスタイルもいいしな」
「勉強もできてスポーツもできる」
「ちょっとないよな」
「有り得ないよな」
 こう言うのだった。彼等もだ。
 聖花を羨望の目で見る。そして言ったのだった。
「やっぱり凄いよな」
「顔も奇麗でな」
「まさに才色兼備」
「凄い娘だよ」
 こう言ってだ。彼等も聖花をそうした目で見るのだった。だがだった。
 その彼女を見て愛実はじくじくたる思いになっていた。常に聖花の傍にいる。しかし彼女にはだったのだ。
 誰も声をかけず誰も気付かない。そうしてだった。
 皆聖花ばかり見る。その横にいるだけだった。
 部活でもだ。先輩達も同級生もだった。
 聖花ばかり見てだ。笑顔で言っていた。
「いや、凄い娘が入ったわね」
「そうね。本当にね」
「頭もよくて顔も奇麗で」
「しかもかるたも強い」
「部の看板になりそうね」
「将来は。そうね」
 部長も言う。すらりとしたスタイルに知的な顔の美人だ。
 その彼女がだ。笑顔で言うのだった。
「部長ね」
「そうね。三年になったらね」
「絶対になれるわね」
 部長と同じ三年の先輩達も笑顔で応える。
「結構抜けたところもあるみたいだけれどね」
「それはご愛嬌ってことでね」
「あの娘なら部長できるわね」
「かるたも強いしね」
「問
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ