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八条学園怪異譚
第三話 聖花の人気その十一
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「そうなるからね」
「そうしてね。明日は楽しく過ごそうね」
「楽しく?」
「お母さんにいつも言われてるの」
 聖花は常に自分に教えてくれ愛してくれる母のことも話した。
「人って楽しく明るく過ごす為に生きてるって」
「明るく楽しく」
「けれど他人に迷惑はかけないでね」 
 それは絶対だというのだ。
「それでその皆と一緒にね」
「明るく楽しく過ごす為に」
「その為に生きているのね」
「ええ、そうなの」
 聖花はこう愛実に話していく。
「そう言われたの。だから愛実ちゃんもね」
「明るく楽しくね」
「生きるのね」
「そうしようね。明日もね」
「その為に生きているから」
「妬んだり憎んだり嫌ったりすることがあってもね」
 だがそれでもだというのだ。
「そうした心はすぐに消してね」
「そしてなの」
「明るいこと、楽しいことを考えて生きないといけないって」
「そうしないといけない」
「さもないと嫌な人生になるってね」
 母に言われたというのだ。聖花は愛する母に言われたことをそのまま話す。そしてこのことは愛実にも確かに伝わった。
 それでだ。愛実は少しだけ微笑んで聖花に言ったのだった。
「お家に帰ってオレンジを食べて」
「それからね」
「明日から笑顔になるから」
 聖花に対して、何よりも自分に対しての言葉だった。
「待っててね」
「うん、待ってるからね」
「私明るくなるから」
 明日を見ての言う。愛実はオレンジで明るくなれた。
 それで家に帰ってから早速果物ナイフでオレンジを四つに切ってからちゃぶ台で食べた。そこに愛子が来て尋ねてきた。
「そのオレンジどうしたの?」
「このオレンジ?」
「うん、このオレンジね」
 そのオレンジを食べながらの言葉だった。
「聖花ちゃんが先輩から貰ったものなの」
「それを愛実ちゃんにくれたのね」
「私が疲れてるから食べてねってね」
「そうなの。聖花ちゃんからね」
「何か。私が疲れてたり困ってたりすると」
「聖花ちゃんいつも助けてくれるわよね」94
「うん、そうよね」
 愛実は愛子の言葉に頷きながらそのオレンジを食べる。そのうえで言うのだった。
「美味しい、凄く」
「どうして凄く美味しいかわかる?」
「それはどうしてなの?」
「ただのオレンジじゃないからよ」
 愛子は愛実の向かい側の場所に座ってきた。自分はそこでちゃぶ台の上にあった栗饅頭を食べながら妹に話すのだった。
「聖花ちゃんから貰ったからよ」
「私の為に貰ってきたものだから」
「だから他のオレンジより美味しいのよ」
 愛子は微笑みと共に愛実に話す。
「ずっとね」
「そうなのね。心が入ってるから」
「そういうことよ。だからね」
「わかったわ。じゃあ」 
 愛実はその
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