第三話 聖花の人気その五
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「だから二人もこっちに入ってね」
「それで楽しもう」
彼女達がこう言って誘うとだ。それに乗って。
聖花は愛実に顔を向けてそのうえでこう言った。
「じゃあ愛実ちゃん」
「うん、そうね」
愛実も聖花のその言葉に頷く。そうしてだった。
二人はカラオケボックスのその席に着いた。すぐに先輩達も来てそうして本格的に合コンがはじまった。
その中でだ。言いだしっぺの美術部の先輩が聖花を見て言うのだった。
「やっぱりね。間近で見るとね」
「あっ、何か」
「うん、違うね」
こう言ったのである。
「可愛いね」
「可愛いってそんな」
「いや、可愛くなかったら」
どうかとだ。先輩は聖花ににこにことして話す。
「奇麗だよ」
「そうですよね。モデルかアイドルみたいですよ」
「そうですよね」
先輩の言葉に続いて美術部の男子の新入生達も言う。
「噂には聞いてましたけれどね。かるた部の新入生で凄く奇麗で頭のいい娘がいるって」
「何か入試でトップだったとか」
「凄い娘がいるって」
「それがこの娘なんですね」
こう言うのだった。彼等もまた。
「いや、本当に噂以上ですよ」
「うちの学校可愛い娘多いですけれどね」
「この娘はかなり凄いですよ」
「アイドルやれますよ」
彼等はこぞって話す。そしてだった。
かるた部の男子生徒達もだ。こう言うのだった。
「どうだよ、羨ましいだろ」
「かるた部の看板娘だぜ」
「かるたも結構強いしな」
「凄いだろ」
こう言って美術部の面々に反論するのだった。そして。
さらに言うのだった。彼等に対して。
「何ならかるた部にも入るか?」
「掛け持ちするか?」
「そうしたら一緒にいられるぜ」
「どうするんだよ」
「そうだな。それもな」
「悪くないよな」
そしてだ。美術部の面々もそれに乗りかける。特に先輩がだ。
乗り気になってかるた部の先輩達に身を乗り出してこう言うのだった。
「ねえよかったらさ」
「かるた部に入れろって?」
「そう言うのね」
「うん、どうかな」
実際に彼女達にお願いしていた。目を輝かせて。
「君達さえよかったらさ。いいかな」
「ちょっと。あんた美術一筋じゃないの?」
「そうじゃなかったの?」
「それで何、そののろけ方」
「ちょっとないでしょ」
「確かに僕の青春は美術一筋だよ」
それは彼も否定しない。断固としたものもそこにはあった。
だがそれと共にだ。彼はこうも言うのだった。
「けれど。うちの学校は部活掛け持ちできるからね」
「それと一緒に退部できないけれどね」
「一旦入部したらね」
これが八条高校の特徴だった。普通科も商業科も工業科も他の科もそのことは同じなのだ。校則は統一されているからだ。
それでだ
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