第二話 嫉妬その四
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「そのことには自信jがあるのよ」
「私もなの」
「そう。自信があって他の人に負けないっていう気持ちがあるから」
それでだというのだ。
「人から劣っていると思うとね」
「そのことがなの」
「そう、我慢できないのよ」
「私もそうなのね」
「そうよ。愛実ちゃんはいつも自信なさげだけれど」
姉だからわかっていた。妹のそうした気質は。
「それでも愛実ちゃんにもね」
「自信があるの」
「ない筈がないわ。けれど劣等感はいい方向に向けて努力する為のものでね」
愛子は高校に入る直前の愛実に切実に話していく。そうしなければいけないとは自覚していないがそうしたのである。
それでだ。こうも言ったのである。
「ひがんだり妬んだりするものじゃないから」
「妬んだり・・・・・・」
「そうした心は絶対にいい結果を生まないわ」
「絶対に?」
「人を呪えば穴二つっていうわね」
愛子はこの言葉も出した。
「よくない感情はよくない結果を生み出すのよ」
「絶対にそうなるのね」
「そこも聖花ちゃんのいいところね」
「聖花ちゃんは嫉妬がないの?」
「ないわね。自分の悪いところは認めて受け入れられるし」
このことも言う愛子だった。
「ただ」
「ただ?」
「ちょっと。性格的にね」
どうかとだ。自分の思うことを言う愛実だった。
「本気で怒ったら。きついかも知れないわね」
「えっ、聖花ちゃんって本気で怒ったことって」
「あったじゃない。ほら、愛実ちゃんが子供の頃男の子達にいじめられてた時」
「ええと。確か」
その話を受けてだ。愛実はこのことを思い出して言った。
「小学校一年の頃?」
「そう、その頃ね」
「思い出したわ。そういえば」
「聖花ちゃん男の子達に本気で向かっていったって話だから」
愛実から聞いた話だ・。愛子はそのことを覚えていたのだ。
「そういうことを聞いてるとね」
「聖花ちゃんって本気で怒ったら」
「そう、厳しいと思うわ」
「そうなの」
「愛実ちゃんにとってはいいことだけれど」
親友が正義感が強くしかも悪いことに本気で怒る人間だからだ。弱い愛実にはそれがいいことだというのである。
「だからね」
「それでなの」
「そう。いいと思うわ」
こう言ったのである。
「だから大切にしてね。聖花ちゃんのこと」
「うん、わかったわ」
何となくという感じでだ。愛実は答えた。
「それじゃあ高校でも」
「聖花ちゃんと仲良くね」
「うん」
姉の言葉に頷いてから食器を食器洗い器に収めて。それからだった。
愛実は歯を磨いて八条学園高等部に向かった。そこは確かに巨大で生徒の数も多い。その生徒の中を可愛らしい制服姿で進んでいく。その彼女に。
横から声がかかってきた。その声は。
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