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八条学園怪異譚
第一話 湧き出てきたものその二十
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「聖花ちゃん絶対に合格するから」
「そんなことないわよ」
「落ちる筈ないじゃない」
 愛実は曇った顔で言う。
「だって。クラスでトップじゃない」
「だからっていうの?」
「そうよ。それでどうして落ちるのよ」
「試験はやってみないとわからないし。それに」
「それにって?」
「その時の精神的なコンディションとか凄く関係あるから」
 それでだとだ。聖花は言うのである。彼女にしてみれば落ちることは決して杞憂ではなくそれで愛実が言う様に安心できなかったのだ。
 それでだ。こう言うのだった。
「私やっぱりね」
「私が一緒のクラスだから」
「凄く嬉しいの。ほっとしてるわ」
「だったらいいけれど」
 愛実は俯いたまま聖花に答える。
「私なんかが一緒でいいっていうと」
「だから。愛実ちゃんがいてくれて一番嬉しいの。愛実ちゃんはどうなの?」
「私?」
「そう。愛実ちゃんはどうなの?」
「それは」
 少し、いやかなり口ごもってだ。愛実は聖花に答えた。
「まあ。それは」
「それは?」
「嬉しいと思うわ」
 聖花、自分の横にいる彼女を見ないでの言葉だった。
「やっぱりね」
「そう。よかったわ」
「うん。一人でいるよりも」
 感情のない口調での言葉だった。
「やっぱり二人だと」
「そうよね。有り難いわよね」
「けれど私は」
 どうかとだ。愛実は言うのだった。
「ちょっと」
「ちょっと?」
「何でもないわ」 
 ここから先は言わなかった。言えなかった。
「だから気にしないで」
「ううん、そうなら」
「とにかくね」
 また言う愛実だった。
「私は私のことに専念するから」
「愛実ちゃんのことに?」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「聖花ちゃんはね。聖花ちゃんのことに専念して」
「うん、愛実ちゃんがそう言うのなら」
「ただね」
 もう一つの感情もだ。愛実は言葉に出した。無意識のうちに。
「私もね」
「愛実ちゃんもって?」
「頑張るから」
「テスト、合格するのね」
「ええ」
 そうするとだ。聖花に微笑みと共に答えたのである、
「そうするから。絶対にね」
「うん、何があってもね」
「合格しようね」
 聖花は笑顔でそう言った愛実に応えた。
「二人でね」
「ええ。私もやっぱり」
 無意識、純粋な気持ちになってだ。愛実は聖花に言った。今はそれができたのだ。
「二人でね。一緒にね」
「この学科合格したいわよね」
「滑り止めも受けてるわよね」
「うん。けれどね」
「本命はここよね」
「そう、この学科よ」
 八条高校の商業科、今から二人で受けるこの学科だとだ、聖花は合いミニすぐに笑顔で頷いて返した。
「やっぱりね。この学科にね」
「そうよね。幼稚園の頃
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