第十六話 柴犬その三
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「ベスト着ない?」
「ベスト?」
「そう、あれだと完全に隠れるからね」
上着の上から着るからだ。胸と腹はそれで完全に隠れる。
「どうかしら」
「ベストいいけれどね。ただね」
「愛実ちゃん暑がりだからね」
「そうなのよ。私暑いのは苦手だからね」
愛実は夏が苦手だ。それで暑いことは避けてそれで今もベストを着ずにブラウスのままなのである。それで言うのだ。
「ベストはね」
「そうよね。じゃあやっぱり」
「どうしてブラウスから透けさせないか」
女子校生の永遠の悩みの一つだ。
「それが大事だから」
「その辺り難しいわね」
「本当にね。そういえばね」
ここでふと愛実はこのことに気付いた。
「妖怪さん達の中にもね」
「いやらしい妖怪さんとかいないかどうか?」
「そう、いるかしら」
こう言うのだった。
「やっぱり」
「いるんじゃないの?悪魔とかが女の人かどわかる話って西洋に多いから」
「あっ、そうなの」
「多いわよ。あえて内容は言わないけれど」
「いやらしい話なのね」
「そう。RPGとかでもインキュバスとかサキュバスとかいるじゃない」
所謂淫魔である。
「そういう妖怪いるじゃない」
「何かゲームで戦ったわ」
愛実はあることを思い出して嫌な顔になって述べた。
「エナジードレインでレベル落とされたわ」
「ああ、愛実ちゃんも知ってるの」
「知ってるわ。どういう魔物かは私も知ってるから」
「でしょ?だからあえて言わないけれど」
それでもだというのだ。
「そうした悪魔とかいるから」
「だから日本の妖怪もなの」
「この学校にもいるのかしら」
聖花はこう考えた。
「この学園にも。ただこの学園の中には結界があるから」
「悪い妖怪はいないわよね」
「そうだけれどね」
「妖怪より人ね」
聖花はここでクラスの中を見回した。当然そこには男子生徒達もいるが彼等はそれぞれ女の子と話をしていた。全員売れていた。
それでこう愛実に言ったのである。
「わかる?」
「あっ、そういえば」
愛実もここで気付いた。
「男の子皆目が違うわよね」
「春の時違うでしょ」
「ええ、女の子を熱心に見てるわね」
相手を見ているだけではない。他の女の子達も見ている。
「私達も見てない?」
「見てるでしょ」
「何か夏服になったら余計に」
「やっぱり透けたら大変なことになるわね」
男組もそれを見ているのだ。だからこそだった。
「本当に気をつけないと」
「ううん、夏は危険ね」
二人で話す。六月になりそれが問題だった。
そしてその話からだった。愛実と聖花はこの日もかるた部で部活に励んだ、そこで先輩の一人にこんなことを言われた。
「何か噂で聞いたけれど」
「噂?」
「噂っ
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