第十五話 足元にはその十一
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「長生きも当然だよ」
「江戸時代のことも知ってるしね」
「昔はお武家さんもからかってたし」
「生真面目なだけにからかうと面白かったよね」
「って。悪戯もしてたのね」
「悪戯は妖怪の生きがいだよ」
こんな言葉も出る。
「猫君達と一緒に遊びながらね」
「それで仕掛けてたんだよ」
「そんなのだと軍人さん達にもしてたのね」
「そうそう、してたよ」
実際に帝国陸海軍の軍人達の足元にもまとわりついてそのうえで悪戯をしていたというのである。これも妖怪だった。
「それもね。いやちょっとからかうと本気で怒って成敗とか言い出すから」
「からかう相手考えた方がいいわよ」
「だから考えてやってるんだよ」
愛実と妖怪達の着眼点はそこが違っていた。
「からかって楽しむ相手をね」
「ちゃんと見て選んでるよ」
「よく刀抜かれなかったわね」
これは武士も同じだ。
「拳銃とか」
「そういうので怒らないからね」
それで大丈夫だったというのだ。
「軍人さんでもお武家さんでもね」
「まあだったらよかったけれど」
「相手選んでからかった方がいいわよ」
「そうした人達はからかうだけだけれどね」
ここですねこすり達の言葉が変わった。
「ヤクザ屋さんとかゴロツキとかはまた別だよ」
「足を絡ませてそれでこけさせて溝に落としたりね」
「そうしたことをしてるよ」
「ふうん、そうなの」
「ヤクザ屋さんとかにはそうなのね」
「ヤクザはヤクザだからね」
つまりろくでなしだというのだ。妖怪達にしてもヤクザやゴロツキといったものには嫌悪感を露わにさせている。
「だから悪戯も容赦しないよ」
「殺したりとかはできないけれどね」
「お店にヤクザとかゴロツキ来たら迷惑なのよね」
「そうよね」
聖花は愛実の言葉に頷いた。二人は今同じ顔になっている。
「だからうちのお店暴力団員お断りなのよ」
「うちもそうしてるわ」
「常連とかになってもらったら他のお客さん来なくなるし」
「迷惑なことばかりするからね」
それでそうした客は断っているというのだ。
「普通のテキ屋さんならともかくね」
「そういうお客さんは本当に迷惑よ」
「ヤクザのことに詳しい様だな、二人共」
日下部は二人の話からこのことに気付いた。
「どうやら」
「まあそれはです」
「お家の商売の関係で聞いてますから」
二人はそれでそうした人間に詳しいというのだ。日下部に対してもあっさりと答えることができた。
「ヤクザっていうのは賭場とかテキ屋さんから出て来たって」
「日本ではそうですよね」
「ああした人間は何時でも何処でもいる」
残念だがこれもまた人の世だ。
「マフィアなりな」
「イタリア系とか中国系とか」
「そういうのですか」
「イタリアに
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