第十五話 足元にはその九
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「お坊さんとしては凄い人達よ」
「そうよね、やっぱり」
「立派な人達よ」
「そう、趣味は外見はともかくとしてね」
すねこすり達もそのことは確かだと言う。
「本当に江戸時代からあのお寺の住職さんは変わり者ばかりだけれどね」
「僧侶としての徳はあるんだよ」
「僕達のことも知っていてそれで入れてくれているし」
「素晴らしい人達だよ」
「僕達あの人達好きだよ」
笑顔で言っている。そしてだった。
妖怪達は猫達と遊びながら周囲を見回してそのうえでこうも言ったのだった。
「で、お寺からいつもこの学園に来て遊んでるんだ」
「ここで寝泊りすることも多いよ」
「第二の家っていうかね」
「そうした場所だよ」
「あっ、それでだけれど」
愛実はすねこすり達が寺から学園に行き来していることを聞いてそのうえで彼等に対してこう尋ねたのだった。
「あんた達どうやってここまで来てるの?」
「ああ、それだね」
「そのことだね」
「そうよ。どうして移動してるの?」
愛実は彼等にこのことを尋ねる。
「泉使ってるの?ひょっとして」
「ああ、何か探してるって?」
「博士から聞いたけれど」
「そうなのよ。この学園の何処かに妖怪が出入りする泉があるけれど」
「それが何処にどういった形であるかはわかっていないの」
聖花も言ってくる。
「それでだけれど」
「あんた達はひょっとしてその泉を使って」
「歩いてきてるよ」
だが返答はこれだった。
「お寺からね」
「えっ、そうなの」
「お寺からなの」
「だって八条寺って大学の工学部の向かい側にあるんだよ」
壁を面してそこにあるのだ。
「壁を越えたらすぐだからね」
「実際に壁を越えて森を通り抜けて行き来してるんだ」
「車もないし楽に行けてるよ」
「壁なんて普通に乗り越えられるからね」
そうして行き来しているというのだ。
「実際お寺と学園は僕達にとっては同じ様な場所だよ」
「家であり続けてるよ」
「そうなんだよ」
こう言うのだった。そして。
愛実と聖花は彼等の話を聞き終えた神妙な顔になってこう言った。
「ううん、今回もね」
「泉は見つからなかったわね」
「すねこすりさん達は壁を越えてるだけだし」
「それならね」
二人はいささか拍子抜けしたまま言った。
「また探すことになるわね」
「このまま」
「そうなるな。しかしだ」
日下部は話す愛実と聖花に言った。
「君達も頑張るな」
「そうですかね、特に」
「そんなつもりはないですけれど」
二人にしては実感のないことだった。二人にしては遊びというか部活の感じてしていてそうしたつもりはないのだ。
だから日下部の今の言葉には首を傾げさせて言うのだった。
「ただ興味があるだけですから」
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