第十五話 足元にはその六
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「まあ普通にいつも何匹もお店の周りに来てます」
「和みそうだな」
「猫ちゃんっていいですよ」
愛実は猫について熱く話しはじめた。
「可愛いですし見ていると癒されますし」
「君は猫好きでもあるのだな」
「はい、犬も好きですけれど」
猫もいいというのだ。
「飼ってないですけれど好きです」
「それはいいことだ」
「それですねこすりってやっぱり」
「そうだな、猫に似ているな」
そうした妖怪だというのだ。
「外見も性格もな」
「そうですか」
「この辺りにいると思う」
日下部はここで周囲を見回した。暗くなり視界はかなり悪くなっている、その夜の校舎の中を見回して言うのだった。
「足元にいるから注意して見ることだ」
「わかりました。それじゃあ」
「探してみますね」
「もう一度言うが外見や性格は猫に似ている」
重要なヒントだった。
「だからすぐにわかると思うが」
「この子ですか?」
言った瞬間だった、聖花が声をあげた。
「今私の足元にいますけれど」
「あれっ、この子って」
愛実は聖花の足元を見た。見ればそこには白地に黒いブチがホルスタインの様にある毛に覆われた生き物がいた。垂れ耳で外見は。
「マンチカンかスコティッシュフォールド?」
「それよね」
「ええ、そう見えるけれどまさか」
「この子がそのすねこすり?」
「そうなのかしら」
「それは猫だな」
日下部は聖花の足元にいるその生き物を見て言った。
「スコティッシュフォールドだ」
「あれっ、猫ちゃんですか」
「そのすねこすりじゃないんですか」
「似ているが違う」
やはり猫だというのだ。
「これはな」
「あの、猫ちゃんと一緒にいるんですかひょっとして」
「すねこすりって」
「一緒にいないとは言っていないが」
これが返答だった。
「猫は妖怪と一緒にいることもままにしてある」
「そういえば猫又っているわね」
「この学園にもね」
博士と一緒にいるその妖怪のことも思い出される。
「だからなのね」
「このスコティッシュフォールドもいるのね」
「その猫は飼い猫だな」
日下部は猫を見ながらまた言った。
「見るのだ、首輪がある」
「確かに。ちゃんと首輪してますね」
愛実も猫のその首輪に気付いた。
「それじゃあこの子本当に猫ちゃんなんですね」
「その通りだ」
「ううん、じゃあここにすねこすりはいるんですか?」
「あれだ」
またしても言えば早速だった。日下部は愛実から少し離れた場所にいるやはり白地で黒いブチのある垂れ耳の生き物を指差した。
「あれがすねこすりだ」
「?猫ちゃんじゃないですよね」
愛実は目をいぶかしまさせて日下部に問い返した。
「そっちの子は」
「そうだ、あれがすねこすりだ」
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