暁 〜小説投稿サイト〜
有栖キャロの小学校物語
第19話 魔導師がやって来ました………(中編)
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

『アブソリュートブラスト』

巨大な冷気を発射した………












「くそ………」

キャロ達をターゲットにしたジランドを睨みながらそう呟くエローシュ。
フェンリルによって出現した冷気により手足の感覚どころか体の体温も下がってきていた。

キャロ達魔導師組はバリアジャケットがあり、ルーも今回デバイスが無いが動いている分まだ平気だった。しかし魔導師じゃない3人は別だ。
バインドによって動けない事もあり、かなり危険な状態になっていた。

「夏穂………佐助………」
「ぼ、僕は………まだ平気………だけど………」
「夏穂………?夏穂………!!」

慌てて声をかけるが返事が無い。
指がピクンと反応しているのが見えたためまだ生きているのは分かったが一番危険な状態になっている。

「夏穂………夏穂………!!」

一生懸命声を張り上げ、凍える体で地面を這いつくばって夏穂の所へ向かおうとするエローシュ。

「くそ………俺が………俺にもっと力があれば………!!」
「し…し……ん…や………」

そんな中夏穂がエローシュの名前を呟いた。
その声はすぐにでも弱々しく今にでも消え去りそうなほど小さかった。

「待ってろ………今助けて………」
「し……んや………逃……げ………」

最後の一文字、ては口が動くだけで声には出ていなかった。

「逃げて………だと?ここに来て………お前は………」

自身の情けなさに気持ちが押しつぶされそうになるエローシュ。
動いていた体も電池が無くなったおもちゃのようにピタリと止まった。

「動け………動けよ………口だけかよ俺は………リーダーみたいな真似事して結果はこれかよ………ふざけるなよ………俺はやれるまだやれるんだ………!!」

体が動かない状態でも目はまだ死んでいない。
気持ちは既に折れそうで、最後の一本が繋がっている様な状態。

それでもエローシュは諦めない。

「く……おおおお!!!」

最後の力を振り絞るかのように唸り声を上げながら前へ這い進む。
そんな時、バックから一つの箱が転がり落ちた。

それと同時にエローシュが進むのを止めた。

「あれ………何で俺、止まってるんだ………?それにこの感覚って………」

とても懐かしい感覚。まるで前の自分を思い出す様な感触。

『へえ………お前って面白いな………転生………そんなものが実際にあるとはな………』

そんな事を感じていたエローシュに向けて、声が聞こえてきた。

「お前は………?」
『やっと封印が解かれたと思えば目の前にはガキだもんな………だが契約で決まった以上拒否は無理か………』
「何を言って………」
『おいガキ、力が欲しいか?」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ