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八条学園怪異譚
第十四話 茶道部の部室でその三
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「泉の話じゃが」
「はい、それですけれど」
「泉の存在を最初から認識してたんですね」 
 愛実も聖花もそのことに驚きを隠せずに言う。
「つまりこの学園は最初から妖怪や幽霊と付き合うことを念頭に置いてたんですか」
「それでここに置かれたんですね」
「そうじゃ。かつて妖怪だの幽霊だのは今よりもずっと身近な存在じゃった」
 博士はしみじみとした口調になっていた。
「それで学園の創設者もかえって親しみを感じてここに学園を置いたのじゃ」
「人間と妖怪の共存ですか?」
 聖花は一つの理想論を出した。
「それですか?」
「最初からしておったからそれは考えておらんかったかもな」
 江戸時代ではそうだったというのだ。人間と妖怪は共にいたというのだ。
「ただ立地がよかったかも知れぬし創設者が妖怪を好きだったのかも知れん」
「八条家の方ですよね」 
 今度は愛実が博士に尋ねた。
「この学園の創設者っていいますと」
「その通りじゃ。八条家の人じゃ」
 世界的な企業グループである八条グループの経営家でもある。明治の頃から大財閥として知られていた。
「あの家の人じゃ」
「八条家ですか」
「うむ、そうじゃ」
「オカルトとかいう感じじゃないですけれど」
 学園の理事長や企業の経営者のイメージではないというのだ。
「それでもなんですか」
「こうした考えは仕事とは別じゃよ」
 博士は愛実の違和感にあっさりと返した。
「全くのう」
「そうなんですか」
「むしろ学校いたり軍隊にいるとじゃ」
「かえってなんですね」
「妖怪や幽霊を信じる様になるのじゃよ」
「ですね。それは私もわかってきました」
 日下部と出会い話をしてそうなった。愛実と聖花にとって彼との出会いは実に大きなものとなっていたのだ。
「ですね、確かに」
「そうじゃ。それでじゃが」
「はい、泉は確かにあるんですね」
「妖怪が出入りできる場所のあるところに創設した」
 博士はまた言った。
「確かに書いておる」
「ですか」
「そうなんですね」
「うむ、そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「ただ。何処にどういった形であるかはじゃ」
「それはわからないんですね」
「そこまではまだわかっておらん」
 博士はこう愛実と聖花に話した。
「残念じゃがな」
「いえ、それはわかりましたから」
「泉が確かにあるのは」
 二人は前向きだった。泉が確かにあるのならというのだ。
「じゃあ頑張って探してみます」
「何処にどんな形であるのか」
「ふむ。そこは頑張ってくれるか」
「とりあえずはあるってわかっただけで充分ですし」
「やってみます」
「では頑張ってくれ」
 博士は明るい顔で答える二人に笑顔で告げた。
「泉を見つけることをな」
「はい、絶
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