第十三話 理科室のマネキンその十三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「博士に聞けば詳しいことがわかるだろう」
「じゃあ明日聞いてみますね」
「あの博士に」
「しかしどうやらその鏡は普通の鏡だな」
「うん、間違いないね」
「本当に普通の鏡だよ」
模型達も鏡に触れてみた。だが、だった。
彼等が触れても鏡の中に入ることは出来ない、それで言うのだった。
「何でもないよ」
「確かにいい鏡だけれどね」
「泉ではないね」
「普通の鏡だね」
「そうだな。だがこれで一つわかった」
日下部は彼も鏡に触れてみてから言う。姿は映らないがそれでも触れることはできた。
しかしやはり鏡には映らない、それで言うのだった。
「普通科の校舎には他に怪しい場所はないからな」
「うん、この鏡だけだよ」
「これだけだよ」
模型達もそのことは言う。
「だからね。これが泉じゃないとね」
「普通科には泉はないね」
「そうだな。では今日はこれで終わりだ」
確かな声で言う日下部だった。
「では帰ろうか」
「何かわかったことってあまり」
「そうよね」
愛実と聖花はお互いを見合って話をした。
「大したことがないっていうか」
「普通科には泉がないってだけでね」
「特にこれといって」
「ないけれど」
「そういうものだ。事実は少しずつわかるものだ」
日下部はこう二人に話す。
「だから特に項垂れることもない」
「ですか。それじゃあですね」
「また今度ですね」
「そうだ、では今日はどうする」
「そうですね。じゃあ今日は」
「これで、ってことで」
二人はここでも貌を見合わせて話した。
「お家に帰ってね」
「それでまた今度ってことで」
「遊んでいかないの?」
人体模型が二人に問うてきた。
「そうしないの?」
「僕達と一緒にダンスとかしないの」
「ブレイクダンスとかできないから」
「私も」
愛実も聖花もダンスは得意ではない。特に愛実はそうしたダンスが大の苦手なのだ、それでこう二人に言うのだった。
「だからね」
「申し出は有り難いけれど」
「見るだけでも?」
「それもしないのかな」
「見るのは」
「どうしたものかしら」
二人はまた貌を見合わせた。
「踊ることはできないけれどね」
「見ることはできるし」
「それなら?」
「見させてもらう?」
「見るのなら構わないと思うが」9
日下部も言う。
「それはどうだろうか」
「そうですね。それじゃあ」
「今日は」
二人は日下部の言葉を受けた、そしてあらためて模型達に貌を向けて言う。
「お願い、それじゃあね」
「ブレイクダンス見せてね」
「実は日舞とかもできるけれどね」
「最近これに凝っててね」
「いや、アメリカのダンスもいいよね」
「プレスリーやマイケルもよかったけれど」
模型達は
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ