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八条学園怪異譚
第十三話 理科室のマネキンその四
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「それで」
「映画でよく見るでしょ」
「海軍の映画とかでね」
「本当に殴ってたから」
「ああした風になのね」
「日下部さんは行ってなかったけれど兵学校じゃ特にね」
 海軍士官を育てるそこは特にだったというのだ。
「もう何かあれば上級生徒が殴ってきたのよ」
「一日一発とか?」
「何発もよ。個人差があるけれど」
「痛そうね」
「流石に今はないけれどね」
 海上自衛隊、いや自衛隊そのもので体罰は否定去れている。勿論暴力はあるがそれを行う者は処罰の対象となる。
「凄かったのよ」
「何発もって」
「だから海軍はね」
「拳もあるのね」
「そう、性根を叩きなおすとかね」
 その場合はだというのだ。
「それは拳と精神注入棒なのよ」
「うちよりずっと凄かったのね」
「勿論うちよりもね」
「そんな人うちの学園にはいないわね」
「海軍の軍服そのままの制服着てる子はいるけれどね」
 冬のそれもあれば夏もある。海軍は詰襟だったが暑い場所においては白いものになっていたことで有名である。
「それでもね」
「今時そんな人いないから」
「海軍ってもうないのね」
「名前は戻るかも知れないけれど」 
 海上自衛隊からだというのだ。
「それでもね」
「戦前みたいなことはないのね」
「時代が違うからね」 
 だからだというのだ。
「あそこまで凄い厳しい組織にはね」
「なれないのね」
「日下部さんみたいな人はいなくなったわ」
 そうした意味でもだというのだ。
「もう過去のお話よ」
「海軍は」
「そう、けれど日下部さんみたいな人が今もいたら」
 聖花は憧れをここで見せた。
「凄いわよね」
「海軍軍人よね」
「そう、ああした感じの人ね」
「時代が違うからね」
 愛実は聖花の今の言葉にこのことから返した。
「だからもう」
「そうした人はいないのね」
「戦争前と今じゃ本当に違うから」
 愛実は戦前と戦中を一緒にして話す。
「だからね」
「それでなのね」
「そう。あの頃ってテレビもクーラーもパソコンもなかったじゃない」
「携帯電話もよね」
「そういうの全部なかったのよ」
「じゃあやっぱり」
「うん、全然違うわよ」
 愛実は聖花にこのことを話していく。
「だから今の自衛官の人と昔の軍人さんじゃね」
「本当に全然違うのね」
「そうよ。ただね」
「ただって?」
「戦争前の人って。日下部さんは違うけれど」
 愛実は聖花を少し見上げてから述べた。
「小柄なのよね」
「あっ、そうよね」
「私でも結構大きい位だったっていうし」
 愛実は自分の小柄さと聖花の背を比較しながら話す。
「幕末って一五四位でしょ、平均身長」
「うん、それ位よ」
「私より低かったのよ、平均身長」
「じゃあ」
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