第十三話 理科室のマネキンその三
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「合コンになると殺到してくるみたいよ」
「殺到って」
「それこそ狼みたいにね」
「狼って言い過ぎじゃない?」
「だって。本当に群がるそうよ」
「女の子に」
「商業科はとにかく女の子が少ないからね」
人は少ないものは奪い合う。では狼になることも道理だというのだ。
「私達だってそうじゃない」
「って。私も愛実ちゃんも特に」
聖花も歩きつつ首を左に捻りながら述べる。
「彼氏欲しいと思ってないわよね」
「まあそうだけれどね」
「愛子さん彼氏いるけれど」
「聖花ちゃんのお姉ちゃんもよね」
「ええ、この前お家に連れて来たわ」
聖花は愛実のその言葉に答える。
「何でもお家はお好み焼き屋さんらしいわ」
「麦と麦ね」
愛実は聖花の姉の彼氏の家がお好み焼き屋と聞いてこう言った。
「パンもお好み焼きもだから」
「そうなのよ。だからお母さんは丁度いいわねって喜んでるわ」
「喜ぶところそこ?」
「そうみたい。いい人だったし」
「そうなの」
「お母さんもしっかり見てたわ。彼女の家に来る男の人って大抵は物凄く猫を被ってるらしいけれど」
これはどうしてもそうなる。緊張しているうえに好感を持ってもらいたく極端にそうした態度になってしまうのだ。
「そこをあえてじっくりと見てね」
「見抜いたのね」
「そうなの。それでお母さんが言ってたの」
「いい人っていうのね」
「そう、見極めてたわ」
「いいことね。けれど中にはね」
愛実は聞いた話を聖花にしていく。
「彼女の実家に行ってもふざけた態度の人がいるそうね」
「ちーーーすって感じで来てよね」
聖花は右手を軽く挙げてこの言葉を出す。
「そうした態度よね」
「うちのお母さんそうした態度で来たらまな板でぶん殴るって言ってるわ」
「まな板って」
「それで殴って性根を入れ替えるって」
そう言っているというのだ。
「そんな態度の奴は許せないって言ってるわ」
「おばさんも厳しいわね」
「厳しいっていうか許せないっていうのよ」
そうした態度で彼女の家に来る男がだというのだ。
「それでなのよ」
「成程ね。まあうちのお母さんもね」
「愛実ちゃんのおばさんもよね」
「うん、多分そうした人が来れば」
その時はというのだ。
「容赦しないと思うわ」
「やっぱりそうよね」
「うちはパンを巻く棒かしら」
「おばさんそれで殴るのね」
「そうじゃないかしら」
「それで性根を叩きなおすのね」
「そうなるんじゃないかしら。まあ日下部さんだと」
聖花はここで彼の名前を出した。
「精神注入棒か拳よね」
「海軍だから?」
「そう、海軍だから」
それ故にだというのだ。
「精神注入棒かね」
「拳なのね」
「陸軍もそうだったけれど海軍って鉄拳制
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