第一話 湧き出てきたものその三
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「御前一組の林田と同じ部活だよな」
「幼稚園の頃から一緒だったけれど」
こう返す愛実だった。
「お友達。それもかなり仲のいいね」
「それなら何でも話せるよな。林田に」
「ええ、そうだけれど」
「じゃあさ。頼めるかな」
気恥ずかしそうな顔になってだ。男子生徒は愛実に言ってくる。
「俺実はあいつと話がしたいんだよ」
「えっ、聖花ちゃんと?」
「ああ。それでな」
どうかとだ。彼は話していく。
「御前が間に入ってさ。それで」
「聖花ちゃんとお話したいのね」
「ああ、それを取りもって欲しいんだけれどな」
「あんたひょっとして」
「あっ、そこまではいかないからさ」
男子生徒はその両手を前にやってしきりに振って否定する。だがその否定は肯定だった。
そのうえでだ。彼はこう言ってきたのだった。
「ただ。ちょっと森本とな」
「お話したいのね」
「俺一人じゃちょっとな。話す機会がなくてさ」
「それで私に間に入ってもらって」
「そうしてもらえるか?」
愛実にだ。彼は気恥ずかしそうな顔で尚且つ必死の顔で頼んでくる。
「いや、駄目とか嫌ならいいけれどさ」
「断る理由はないから」
愛実はそう答えながらも内心微妙だった。
その気持ちが何なのかはわからない。だがそれはまだ小さくだ。
顔を上げて彼にだ。こう言ったのだった。
「お話したいのよね。どうしても」
「ああ、ちょっとな」
「わかったわ。じゃあ何時がいいの?」
「何時って?」
「聖花ちゃんとお話する時よ」
それがだ。何時がいいかというのだ。
「その時は何時にするのよ」
「ええと。そう言われてもな」
「何時にするかは考えてなかったの」
「ああ。具体的にはな」
「わかったわ。じゃあ時間とか。後場所もね」
「悪い、それも考えてなかったよ」
彼は聖花と話したいとだけ考えていてそれでだった。会う時間や場所のことは一切考えていなかったのだ。考えられなかったと言っていいだろうか。
それで苦笑いになったがだ。愛実はその彼にこう告げた。
「じゃあ私の方でね」
「考えてくれるんだな」
「後で連絡するから。ただしね」
「ただし?」
「お話する時はさりげなくよ」
こう言ってだ。忠告するのだった。
「でれでれとかしたら駄目だからね」
「だから俺そういうことはな」
「わかったわ。じゃあね」
「ああ、宜しくな」
彼は笑顔で愛実に言った。彼は愛実を頼りにしていた。
しかし愛実を友人として見ているだけだった。異性ではあっても。
それは彼だけでなく他の男子生徒達もだった。皆聖花を見ていて彼女と仲のいい愛実に取り持ちを頼んでくる。だがその愛実にはだ。
誰も声をかけない。そのことに寂しさを感じだしていた。
そしてだ。聖花に
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