第十二話 首なし馬その十三
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「首が折れたか切れて死んだ亡霊とか元々こうした存在なのか」
「幽霊は妖怪になることもある」
夜行さんも話す。
「わしのこの友達もどうなのかはわかっていない」
「どうして首なし馬になったのか」
「それはなんですか」
「そうだ。しかしちゃんとこうしてものが見えるし聞こえるししかも喋ることもできる」
首があるからであるのは言うまでもない。
「そうした心配は無用だ」
「そうなんですね。まあとにかく」
「これからですね」
「そうじゃ、行こう」
夜行さんは二人にまた声をかけた、すると。
二人の前に自然に、特撮もののバイクの様に二台の自転車が運転する人間なしに自然に走って停まってきた。外見はどちらもごく普通の自転車だ。
だが夜行さんはその二台の自転車を毛に覆われた顔の中にある一つ目で見ながら二人に対して話した。
「わかっていると思うわ」
「一人でに来ただけでわかります」
「この自転車がですよね」
二人も言うまでもないと返す。
「博士が作った自転車」
「魔術や錬金術を入れた」
「そうだ。この自転車がだ」
「普通に凄い自転車ですね」
「自然に走ってますし」
二人は博士から話は聞いていたがそれでもまさか一人でに走って来るとは思っていなかったので少し驚く感じで言った。
「どう見ても普通の自転車じゃないですから」
「これがその自転車ですね」
「そういうことだ。それでだ」
「はい、今からこの自転車に乗って」
「そうして校内を進むんですね」
「そうしよう」
夜行さんは二人に答えた。そうしてだった。
三人は浮かんでいる馬の首の案内を受けてそのうえで校内を見回った。二人は夜行さんの横を進みながら校内を見回っていた。
最初に愛実が夜の校内を見回ってこう言った。
「お昼とは違うけれど」
「違うけれど?」
「うん、色々なものが見えるね」
「そうね。確かにね」
隣を進んでいる聖花も愛実のその言葉に頷く。
「ここは普通科のところだけれど」
「何か違うわよね」
「商業科とはまたね」
「そうよね。ただ」
「ただって?」
「特におかしなものはないわね」
愛実は普通科の校庭、基本的なつくりは商業科のそれと変わらないがそれでも微妙に違う感じの中を見回して言うのだった。
「泉とかは」
「そうよね。妖怪の人達が出入りするみたいな」
「そういうのはないわね」
こう二人で話す。
「今にも妖怪が出て来るみたいな」
「そんなのは」
「わしにはわからないが」
その二人の横にいる夜行さんも言ってくる。
「ここにはおかしなものはない」
「そうですよね。特に」
「普通科は」
「理科室の模型が動く位だ」
怪談の定番の話が出る。
「それ位だ」
「いや、それ普通に怪談ですから」
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