第十二話 首なし馬その八
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「その背に乗せるのはわしだけだ」
「世紀末拳法漫画の大きな黒い馬みたいですね」
愛実は夜行さんの話を聞いてこの馬とはとても思えないまでに巨大でかつ凶悪な性格の馬のことを話に出した。
「それですと」
「また凄い馬の話を出すな」
「詠んで忘れられなかったので」
「あんな馬はいないぞ」
夜行さんもその馬については知っておりこう述べる。
「馬は繊細な生き物で人を決して踏まないのだ」
「何か足元にあるものは避けて通るんですよね」
「馬は心優しい生き物だ」
夜行さんはこうも言う。
「あの様なことはしない」
「ですよね、やっぱり」
「わしも夜に出会った人間を投げ飛ばしたり馬の足で蹴飛ばすとか言われているが」
「そんなことはないんですか」
「わしはしない」
夜行さん、この人は言い切った。
「性質が悪い仲間がおってそうしていたそうだが」
「貴方はそうしたことはしないんですね」
「術で姿を消せばいいだけだからな、人に見られたくない時は」
「だからですか」
「そこまでする必要はない」
それも全くだというのだ。
「妖怪も同じ種族の中でいい奴と悪い奴がおるのだ」
「俺達がいい例だな」
ここで出て来たのは鬼である。赤鬼と青鬼である。
「俺達はこうして皆と一緒に楽しくやりたいがな」
「悪い奴は徹底的に悪いからな」
「ものは盗む、人は食う」
「碌なことをしない奴も多い」
「じゃあ鬼っていうのも」
「そうだ、その鬼による」
「そうしたところは人と変わらない」
赤鬼、青鬼は聖花に対して言う。
「むしろ俺達より海上自衛隊の鬼の方が怖い」
「江田島のな」
「ああ、海上自衛隊幹部候補生学校の話じゃ」
博士が二人にこの話の注釈を述べる。
「あそこの幹部候補生学校は海軍兵学校の施設をそのまま使っておるが」
「そこに鬼がいるんですか」
「幹事付という幹部、若い二尉が任命されるのじゃが」
「その人達が鬼なんですか」
「幹部候補生達の目付けじゃよ。あまりにも厳しい指導なのでそう言われるのじゃ」
それで赤鬼、青鬼だというのだ。
「そうなっておるのじゃ」
「そうなんですか」
「うむ、あの候補生学校の伝統の一つじゃ」
「何か海軍みたいですね」
「海軍は上級生徒全員が目付けじゃったがな」
だからこそ厳しかった、鉄建制裁は常だった。
「幹事付は二人じゃが」
「兵学校は上級生徒全員ですか」
「そうじゃ。だから遥かに厳しかったのじゃよ」
「今は赤鬼青鬼がいても昔よりはずっと楽ですか」
「鉄建制裁もない」
自衛隊でも体罰はなくなっている。確かにそうした話は今もあるが処罰の対象となっていることは海軍とは全く違ってきている。
「昔は凄かったからのう」
「ううん、それにしても今も鬼とかって
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