第十二話 首なし馬その一
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第十二話 首なし馬
聖花は愛実の家である食堂に来た。日曜の昼に店の中に入るとすぐに店の中で働いていた愛実の両親が彼女に声をかけた。
「あっ、聖花ちゃんいらっしゃい」
「暫くぶりだよね」
「はい、お邪魔します」
聖花は微笑んで二人に挨拶をした。
「お土産持って来ました」
「おっ、何かなお土産って」
「聖花ちゃんのお店のパンかい?」
「これです」
聖花は微笑んで自分が持っている袋を二人に見せた。白い紙袋である。
「アップルパイです」
「いいねえ、うちは洋菓子がないからね」
「一応アイスクリームは置いてるけれどね」
二人はアップルパイと聞いて目を微笑まさせて述べた。
「アップルパイとかはとてもだからな」
「作れないからね」
「林檎は紅玉を使ってますから」
聖花は二人にこうも言った。
「かなりいけると思います」
「そういえばアップルパイとかには紅玉だったね」
「それがいいっていうよね」
「はい、だから使ってます」
その紅玉をだというのだ。聖花はその話をしながらカウンターに向かう。店の中は彼女以外の客が結構いてそれぞれ食べている。
その店の中のカウンターに座りこう言うのである。
「どうぞ」
「じゃあ後で食べるよ」
「家族でね」
「それでなんですけれど」
聖花はカウンターからその中にいる二人にさらに問うた。
「愛実ちゃんは」
「ああ、今ちょっと買出しに言ってるんだよ」
「問屋までね」
そうだというのだ。
「愛子は愛子で今店の奥で仕事しててね」
「それで愛実が行ったのよ」
「そうなんですか」
「もう少ししたら戻って来るよ」
「愛実に用があるのよね」
「はい、そうです」
聖花も二人にその通りだと答える。
「それでお伺いしたんですけれど」
「もう少ししたら帰ってくるからね」
「御飯でも食べて待っててくれるかな」
「実は」
食事と聞いてすぐに言う聖花だった。
「まだ食べてないです」
「そうか、じゃあ余計にだね」
「何か食べないとね」
「そうですね。それじゃあ」
聖花はメニューを手に取ってそれから述べた。
「カツカレー定食お願いします」
「カツカレー定食かい?」
「はい、それです」
こうおじさんに答える。
「これお願いします」
「最近カツカレー定食が人気なんだよな」
おじさんは聖花が頼んだそれがだと言い笑顔になる。
「うちのは野菜サラダにスープもつくから豪勢だしね」
「スープにもお野菜がたっぷり入ってますよね」
コンソメスープにたっぷり入れているのだ。これがこの店の洋風の定食必ずついているスープなのである。
「あれいいですよね」
「野菜もしっかり食べないとね」
おじさんは笑顔で言う。
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