第十一話 池の怪その七
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「大き過ぎて学園の中にはいられない」
「ですよね、やっぱり」
「どう考えても」
「あれは流石に無理だ」
いくち程の大きさだとどうしてもだというのだ。日下部もこう言う。
「そもそも何日も船の上を通るとなるとだ」
「一体どれだけ大きいのか」
「わからないですよね」
「若しかすると海の中でぐるぐると回っているのかも知れないがな」
海の下はどうなっているか見えない、それならばその可能性もあるというのだ。
「船を見るとそうする習性があるのか」
「何かよくわからないですよね」
「その辺りは」
「私もいくちについてはよく知らない」
海軍、海上自衛隊だったがそれでもだというのだ。
「謎の多い妖怪だ」
「学校にも出ないですし」
「ちょっと調べにくいですね」
「あれは海にしか出ない」
「川や湖に出るのにしても大き過ぎるからですね」
「だからですね」
「そういうことだ。そうした巨大な妖怪もいる」
妖怪といっても本当に色々だ。大きさ一つ取ってもそうであり一概には決して言えない存在であるのだ。
二人はこのことも理解した。そうした話をしながら学園の池の傍まで行くと。
そこにはまず河童がいた。河童は三人の姿を認めて手を振ってきた。
「やあ、こんばんは」
「あっ、工業科の屋上や博士の研究室にもいたわよね」
「貴方確か」
「うん、いたよ」
お互いに既に顔見知りだった。それで河童も手を振ってきたのだ。
「とはいっても喋ってはいなかったよね」
「そうよね。子泣き爺さんとか砂かけ婆さんとはお話したけれど」
「貴方とはね」
「だよね。だからあらためて宜しく」
河童は池のほとりに立っていてそこから三人に頭を下げた。
「とはいっても日下部さんとはもう知り合いだけれどね」
「うむ、暫くぶりだな」
日下部は微笑んで河童に言葉を返した。
「元気そうで何よりだ」
「元気だよ。胡瓜も美味しいし」
「河童ってやっぱり胡瓜なのね」
「それ食べるのね」
愛実と聖花は河童の言葉からこのことを察した。
「よく胡瓜好きっていうけれど」
「本当だったのね」
「河童は胡瓜で狐は揚げだよ」
河童は嘴の顔を笑顔にさせて二人に話す。
「もうそれは絶対だからね」
「だから胡瓜好きなの」
「河童さんって」
「そうそう。この学園には狐さん達も狸さん達もいるけれどね」
「じゃあ揚げも?」
「結構食べられてるのね」
「そうだよ。胡瓜もそうだけれどね」
こちらは彼自身である。
「それでだけれど」
「とりあえず夜のお池にいるのは誰かわかったから」
「ある程度予想していたけれど」
日本の池なら河童だ。だからだ。
「あの、それでって」
「何かあるの?」
「うん、折角来てくれたからね」
河童はだか
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