第十話 大学の博士その十六
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そこに」
「そうなんです。その交際されている方と」
ここから先を言うとどうにも無粋なのでそれは言わないろく子だった。
「お菓子作り担当ということで」
「牧村さんお菓子作られるんですか!?」
聖花はそう聞いて思わず驚きの声をあげた。その驚きは妖怪達をはじめて見た時と同じだけのものだった。
「そうなんですか」
「そうだが」
「そうなんですか。お菓子を」
「まるで宇宙人を見た様だな」
妖怪とどちらがそうした存在かはわからないが牧村は今はこう言った。
「そうした感じだが」
「まあちょっと」
「しかし俺は実際にお菓子作りが好きだ」
そうだというのだ。
「趣味にしている」
「ううん、ですか」
「ではだ」
ここで話が変わった。牧村からそうしてきた。
「そろそろ大学の正門だが」
それが見えてきた。わりかし大きい門である。
「ここから先は大丈夫だな」
「はい、後は普通に高校に戻れます」
「帰りの案内も有り難うございます」
「何時でも来て下さいね」
ろく子は礼を言った二人に眼鏡の奥の目を笑わせて声をかけた。
「それではまた」
「はい、それじゃあまた」
「宜しくお願いします」
二人は牧村とろく子に深々と頭を下げてそのうえで大学を出た。そうして高校に向かうが。
聖花は自分の左手にある時計を見てこう言った。
「急がないとまずいわよ」
「時間ないの?」
「ちょっとね。走ろう」
「私走るの苦手なのに」
愛実はこう言って聖花に対して苦い顔を向けた。
「それでもなの」
「そう。走らないと」
「わかったわ。それじゃあね」
「ええ、走ろう」
聖花の方が先に駆けだし愛実もそれに続く。二人は何とか午後の授業に間に合いそうして普通の学園生活に戻るのだった。
第十話 完
2012・9・24
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