第十話 大学の博士その六
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「わしがその悪魔博士じゃ」
「ですよね。それでなんですけれど」
「お聞きしたいことがありまして」
それで来たと言う二人だった。
「あっ、名前まだ言ってませんね」
「そうでしたね」
「うむ。何というのじゃ」
博士は二人に顔を向けて問う。小柄な身体に黒いスーツと白衣を着ている。
「君達の名前は」
「森本愛実です」
「林田聖花です」
二人は博士に応えてそれぞれ名乗った。
「八条学園高等部商業科の一年です」
「愛実ちゃんと同じクラスです」
「可愛いのう」
博士はその黒い目を微笑まさせて述べた。
「ぴちぴちの高校一年生じゃな」
「古い表現だな」
青年は研究室の壁のところに背をもたれかけさせて立っている。そこで腕を組んでそのうえで言った言葉だ。
「多少な」
「古いかのう」
「今頃ぴちぴちという表現はないと思うが」
「そうなのか」
「俺はそう思うが。そういえばだ」
青年はここであることに気付きそのうえで二人に顔を向けて言った。
「俺はまだ名乗っていないな」
「あっ、そういえばそうですね」
「お兄さんのお名前はまだでしたね」
「牧村という」
青年はここで自分の名前を名乗った。
「牧村来期という」
「牧村さんですか」
「そう仰るのですか」
「そうだ。縁があれば宜しくな」
「フェシング部とテニス部の部員でもあるぞ」
博士が牧村の所属部のことを話す。
「かなりの運動神経の持ち主じゃ」
「そういえば身体つきがしっかりしてますね」
「背が高いだけじゃなくて」
「アスリートっていうか」
「そうした感じですね」
「だがもう彼女がおるからな」
博士は牧村を見る二人に笑顔で語る。
「しかも浮気をする様な者でもないぞ」
「いや、そういうことは特に」
「考えてないですけれど」
二人は博士の言葉にそうしたことは考えていないと答える。
「確かに格好いいとは思いますけれど」
「そこまでは」
「そうなのか。まあそれでよいがのう」
「確かに彼氏は欲しいですけれど」
「そうしたことは」
「ふむ、わかった」
博士は二人の言葉を聞いて頷く。
「ならいいがのう」
「はい、それでなんですけれど」
「いいですか?」
「うむ、何の用じゃ」
博士は穏やかな顔で二人に応える。
「わしに聞きたいことがあるのじゃな」
「実は最近この学校の怪談を調べてまして」
「この目で何度か見てます」
「水産科やガジュマルの木のキジムナーの人達も」
「普通科の鏡も」
二人はこれまで見てきたものを博士に話す。そしてこの場所のことも話した。
「それで工業科の屋上にも行きました」
「あそこにも」
「ほう、あそこにもか」
知っているという返答だった。
「ということはじゃ」
「
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