第十話 大学の博士その二
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「はじめてよね」
「そうよね。考えてみれば」
「こうしたお話ってどうしても夜になるわよね」
「怪談は夜だからね」
どうしても夜の話になる。しかし今はだった。
「お昼に妖怪の話って」
「幽霊もね」
「考えてみれば不思議ね」
愛実は首を少し捻ってさえいた。
「お昼にっていうのは」
「まさかと思うけれどその博士も」
「妖怪とか?」
「幾ら何でもないわよね」
「元々人間でも妖怪になったとか?」
愛実はこんなことさえ言った。
「そうなのかしら」
「そういえば幽霊は実体がないだけで」
「妖怪は姿形が違うだけだから」
「だったらね」
それならばだというのだ。
「その博士も妖怪化してるとか」
「普通にあるのね」
「あるんじゃないの?」
こう愛実に対して話す。
「とはいっても例え妖怪になっててもね」
「悪い妖怪じゃないわよね」
「それだったら日下部さんがもう私達に言ってるから」
そうなっているというのだ。二人はこれまでのことで日下部に対してかなり強い信頼感さえ持つようになっていた。
それで聖花もこう愛実に言うのだった。
「その辺りは安心できるわ」
「確かに。それはね」
「だから安心して行こう」
聖花は微笑んで愛実にまた話す。
「大学の方ね」
「そうね。それじゃあ」
「八条大学ね」
「そういえば私も聖花ちゃんも」
愛実はこの八条大学について話す。
「あの大学受けるつもりだから」
「そう。前にもこの話したけれど」
「事前の見学にもなるのね」
「かなり早いけれどね」
聖花は少しくすりと微笑んで述べる、
「そうなるわね」
「受けたい学部は違うけれどね」
愛実は商学部、そして聖花は法学部だ。あくまで店の経営を第一と考える愛実と弁護士にもなりたいと思っている聖花ではそこが違う。
しかし同じ大学だ。それならだというのだ。
「同じだからね」
「そうね。同じだからね」
「確か八条大学の法学部って」
愛実は聖花が受けるその学部についてある程度聞いている。どういった学部かというとお。
「司法試験の合格者多いわよね」
「うん、かなりね」
「お役所に入る人も多いし」
「法学部って元々ね」
聖花はその法学部についても話す。
「弁護士の人とかお役所とかね」
「そこに入る為の学部なの」
「東大法学部が特にだけれど」
その学部が入るとだというのだ。
「そうした学部なのよ」
「ふうん、そうなの」
「そう、法学部はね」
「成程ね。ただね」
「ただ?」
「どの学部でもお役所には入られるし」
「それに弁護士にもなれるのね」
このことは愛実は知らなかった。彼女は司法試験も公務員試験もテストに受かればいいということまでは知らなかった。
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