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八条学園怪異譚
第九話 職員室前の鏡その十四
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「帰りながら話そう」
「はい、四回目ですよねもう」
「この学園の怪談を調べに夜に入ったのは」
「日下部さんを入れて四回」
「結構な数ですよね」
「学校の怪談というものは大抵は七つだ」
 日下部が言うのは数のことだった。二人と共に普通科の廊下を歩いていきながら話していく。
「しかしこの学園はだ」
「七つじゃないんですか」
「ひょっとしてもっとあるんですか?」
「具体的に幾つあるか」 
 日下部は考える顔で二人の右隣を歩きながら話す。
「果たしてな」
「わからない位ですか?」
「そんなに多いんですか」
「少なくとも七つどころではない」
 やはり多かった。
「二十はある」
「ひょっとしてそれって」
 ここで愛実はふと気付いて聖花に顔を向けて彼女に話した。
「学科ごとに七つずつあってね」
「普通科に七つ、商業科に七つとか?」
「それで多いんじゃないかしら」
「それだったらかなりあるわよね」
「うちの学校って私達の商業科に」
 愛実はまずは自分達の所属から話していく。
「それに普通科と工業科、農業科にね」
「日下部さんがいてる水産科に看護科に」
「それ位だったかしら」
「ええ。そうだったと思うけれど」
 とにかく巨大な学園なので二人もまだ学園の全体を把握できていない。何しろ何千人もの生徒を擁しているのだ。
 だから学科にしても幾つあるかわからない、それでこう話すのだった。
「まさか学科ごとに七不思議があるとか?」
「そんな感じなのかしら」
 こう話す。
「まさかと思うけれどね」
「そうだとすると凄いわよね」
「いや、それはない」
 このことは日下部も違うと言う。
「この学園については七不思議はな」
「ないんですか」
「そういうのは」
「そもそも七不思議という言葉はきりがいいからそうなったという面があるのだろう」
 これは日下部の考えだ。特にそうだと決まっているものではないというのだ。
「七つより多くとも少なくともだ」
「特に決まりはないんですか」
「そういうことは」
「怪談に数字が付きまとうことは多いがな」
 何故かそうなる。これは人間の文明に数字が大きく関係するかであろうか。
「しかし七つないとならないということはない」
「じゃあこの学校にあるそうした怪談って」
「幾つあるんですか?」
「とりあえず今は四つですけれど」
「まだまだあるんですよね」
「そうだ。さっきもそうしたことを言ったが」
 校舎の外に出てもまだ話す。夜の学校は今も人がおらず実に寂しげでありかつ独特の不気味さも存在している。
 その夜の学園独自の雰囲気の中で二人は話すのだった。
「この学園の怪談は多いのだ」
「多いんですか」
「七つよりも」
「そうだ。かなり多いことは間違いない
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