第一章 無印編
第一話 『異世界。溶かされる心』
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遠からず、です…。
私の世界の魔術については余計な手間ですので省きますけど、理由は話せませんがとある事情で魔術師達を統括している魔術協会という場所から追われるはめになってしまって…。
先ほど大師父といった他にも師匠すじにあたる人物達の助けもあって世界を飛ばされて今現在に至ります」
部屋の中は少しばかり静まり返ったが呟くように士郎さんは話をしだした。
「…どういった事情で追われるようになったんだい? それを話してもらえないと信用できない」
「父さん!?」
「なんでわざわざ話したくないことを…」
「そうよあなた!」
抗議の声が上がるが私もそれは納得できる節がある。
だから桃子さん達に「大丈夫です、理由も話さないんじゃ不安ですからね」と言い、
「わかりました。私はこの世界に来る前は魔術を人助けのために使用していました。
ですが協会は私の必要以上の行動が目に余ったらしく追われるはめになってしまったんです。それともう一つは私の魔術が異能だからです。今からそれをお見せしますね」
私は一呼吸置いた後、
「投影開始」
と、もう言いなれた呪文を唱えて士郎さんが脇に差していた小太刀を投影した。
当然士郎さんは自身が差していたものだと勘違いしたらしく懐を探ったがある事に安堵したと同時に戦慄の表情をしていた。
他の三人も理解したらしく同じような表情をしていた。
「そう、皆さんのお思いの通り私の主に使う魔術はモノの複製を作り出す能力です。
それもほぼ真に迫るほどのものを…そしてそれが協会の興味をそそり私はもし捕まったら実験材料にされていたでしょうね。
もしこんな能力が解明されれば世界に喧嘩できるほどの脅威ともなるでしょうし…だから私は師匠達の進めもあり世界から姿を消しました。これでいいですか?」
できるだけ無表情でそう言ったが私は内心複雑の極みだった。
イリヤの想いにも気づいてやれずに目先に捕らわれてしまった為にどれだけ悲しませただろうか?
そしてリン、桜、藤ねぇ、バゼット、カレン、一成、美綴…他にもたくさんの人たちが何度も私に声を掛けてくれたのに私はそれを振り払ってしまったのか。
………どうして、それらすべてに気づけなかったのだろう。
◆◇―――――――――◇◆
Side 高町桃子
シホちゃんは無表情で淡々とまるで機械のように最後まで話しきった。
その瞳には感情は見られなかった。
それが私にはとても悲しいものに見えた。
でも………気づいてしまった。
いや、早く気づくべきだったというのかしら。
シホちゃんの拳からはすでにかなりの血が隙間から零れ落ちていると言うことに…。
そして無表情の仮面なのにその瞳からは何度も、そう何度も涙の雫が零れ落ちて
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