第一章 無印編
第一話 『異世界。溶かされる心』
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欒な雰囲気になってしまった。
どうにも話しかけづらい…。
しかしそのことをすぐに察したのか桃子さんが改めて私に話しかけてきた。
「それで、シホちゃん。ちょっと質問してもいいかな?」
「はい。私がわかる範囲でなら…」
「それじゃシホちゃんはどうして森の中で泥だらけで転がっていたのかな?」
「えっ…?」
…森の中?
…泥だらけ?
一体どういうことだろうか?
ここは無難に記憶がないということにしておこう。
◆◇―――――――――◇◆
Side 高町なのは
名前はシホちゃんっていうんだ。
可愛い名前だなぁ。
姿もなんかアリサちゃんに似ているけど髪色は煌めくような緋色で目が琥珀色でとにかく綺麗で…それに名前からして高貴で清楚なお嬢様って雰囲気がある。
でもどうしてだろう?
この子の目を見ているととても孤独そうな雰囲気まで感じちゃう。
そしてお母さんが、
「それじゃシホちゃんはどうして森の中で泥だらけで転がっていたのかな?」
「えっ…?」
疑問顔を浮かべたシホちゃんを見た途端、さっきの不安感が増した。
…なにかあったのかな?
とっても深刻そうな顔をしているけど。
しばらくしてシホちゃんは口を開いて、
「…わかりません。どうして私は森の中にいたんですか? どういった感じだったか教えてくれませんか?」
「うーん…そうだね。それじゃ質問を変えるけどシホちゃんは…、その、親家族とかはいるかな?」
お父さんがなにか言いにくそうにしてそういったけど、私はどうしてかその先が聞きたいって気持ちは浮かばなかった。
でも時間は止まってくれるわけなくてシホちゃんは現実をそのまま口にしてしまった。
「私の家族は…今はもう誰もいません」
「…ッ!」
やっとわかった。さっきの孤独そうな雰囲気の意味が…
そう思ったときには私はいつの間にか客間を飛び出していた。
みんなの…特にシホちゃんの声が耳に響いてきたけど今はもう耐えられなかった。
◆◇―――――――――◇◆
Side シホ・E・シュバインオーグ
返答を間違えちゃったわね。
なのはちゃんには少し重い話だったかもしれない。
それでなのはちゃんを追おうと思って立ち上がったのはいいんだけれど、どうにも足に力が入らなかったらしくそのまま前に倒れるところを恭也さんがとっさに助けてくれた。
「あ、ありがとうございます。あれ、でもどうして…」
「その様子だと本当になにも覚えていないみたいだね」
「はい…面目ありません」
「気にしなくっていいのよ。それでなのはの事なんだけど後で声を掛けてあげて。あの子昔ちょっとあって感受性が豊かなのよ」
桃子さんがそう言ったのでしかたなく私は頷いた。
でも
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