番外編 桃色天然娘と黄巾の乱
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「ぼ、暴力、暴力反対っ! 愛紗、死んだらどうするんだよ!」
北郷さんがいつものように愛紗ちゃんにボコボコにされちゃって、北郷さんは本当にしょうがないな。
懲りもせず、愛紗ちゃんの着替えを覗くんだから、いい加減学習した方がいいと思う。
「はぁ・・・・・・。これからどうしよっかな」
一月前に、白蓮ちゃんに送り出され、義勇軍の皆と一緒に黄巾賊の討伐に出たんだけど・・・・・。
冀州に私達が入った頃には、もう黄巾賊の一番悪い人が倒されちゃった。
幽州を出てしばらくは順調に黄巾賊の人達を懲らしめて、沢山の人から感謝され充実した毎日でした。
「劉備様、黄巾賊の首領を討伐した人物がわかりましたよ」
周辺を調査しに出かけていた兵隊さんが私に声を掛けてきました。
「それで誰が討伐したの?」
「左将軍の劉正礼様らしいです。1日で10万の黄巾賊を6万の兵で殲滅した上、広宗の城を落としたらしいです。流石は地獄の獄吏ですね」
「何だと! その話は本当なのか?」
私が兵隊さんから報告を受けていると、愛紗ちゃんがボロ布のようになった北郷さんを打ち捨てて、こっちに駆け寄ってきました。
「はい、劉正礼様が冀州の主だった黄巾賊を討伐したらしいです。でも、不思議なことに、劉正礼様は広宗での戦を境に、黄巾賊に対して降伏を促しているそうです。これが降伏勧告のお触れです」
兵隊さんは布を私に渡してきました。
「桃香様、何と書いているのです」
「ちょっと待ってね」
布には黄巾賊の人達に降伏を促す内容と降伏に際して条件が書かれていました。
「逆賊である黄巾賊の者達は本来は極刑が適当であるが、黄巾賊に加わりし者達の中には生活に窮し、止む終えず乱に加担した者も少なくない。よって、条件付きで降伏を認める。降伏を行う者は戦禍によって荒廃せし町、村落の復興のために10年間の賦役を課す。これを真面目に全うすることができれば死罪を免ずるものとする」
私は正宗さんが黄巾賊に対し掲示した、降伏勧告の内容に驚きを隠せませんでした。
正宗さんは罪を犯した者を決して許さない人でした。
それが・・・・・・こんな情けを掛けるなんて・・・・・・。
でも、10年間の賦役は酷過ぎます。
「自分で破壊した物は自分達で直せということですか・・・・・・。 桃香様、劉正礼様はご立派な方ですね。この変態男とは大違いです」
愛紗ちゃんは正宗さんの行為に感心しながら、北郷さんを侮蔑に満ちた表情で見ていました。
「まあまあ、愛紗ちゃん、そんなに言っちゃ可哀想だよ。北郷さんも頑張って・・・・・・ないか・・・・・・」
初めて、北郷さんに会った時、彼が天の御使いと確信したんだけど、私の勘違いだったのかな。
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