第七話 魚の目その十五
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それでだ。愛実はこう聖花に言った。
「今度ね」
「今度よね」
「うん、二人でね」
こう言ったのである。
「飲もうね。いや」
「いや?」
「二人じゃなくてね」
愛実は考えを変えた。それでこう聖花に自分の言葉を訂正して話した。
「あの人達と一緒にね」
「キジムナーの人達と一緒によね」
「うん、飲もう」
こう提案したのだ。
「そうしよう」
「そうね。二人で飲むよりもね」
聖花も愛実のその言葉に頷いた。
「皆で一緒に飲もう」
「そうね。今度ね」
「それがいいよね。お酒って一人で飲むより二人で」
「二人で飲むより皆ね」
聖花も言う。
「そうして飲むと余計に美味しいから」
「でしょ?だから今度ね」
「泡盛ね。強いお酒ね」
「強いっていってもね」
どうかというのだ。その強さが。
「まだウォッカよりましよ」
「ウォッカはまた特別でしょ」
聖花はウォッカの話が出て来たところで苦笑いになって愛実に返した。
「だってあれは」
「殆どアルコールだっていうのね」
「九十七パーセントよね」
「それ位のあるわよね」
「火点くわよ」
これはj本当になる。殆どアルコールなので火を点けると燃えるのだ。それだけアルコール度が高い酒であるのだ。
聖花はそのウォッカについて顔を苦笑いにさせたまま話していく。
「あれは別格よ」
「私実は飲んだことないけれどね」
「というか飲めないでしょ、あんなお酒」
「無理ね、一回挑戦しようと思ったけれど」
「強過ぎるからね」
そのせいだった。やはり。
「私の家でも飲める人いないから」
「泡盛とか焼酎が限度よね」
「私ウイスキーも駄目なのよ」
聖花は今度は顔を曇らせて述べた。
「あのお酒もね」
「ウイスキー駄目なの」
「ストレートとか氷割りだとね」
それでは駄目だというのだ。
「お湯割りとかじゃないと」
「そうなの。じゃあバーボンとかラオチューも?」
「そう。何かで割らないとちょっとね」
飲めないというのだ。
「愛実ちゃんはいける?強いお酒をストレートで」
「焼酎までが限度だけれど」
そして泡盛だというのだ。
「それ以上はね」
「無理なのね」
「ストレートだとね。無理」
「泡盛は味が好きだからね」
「ウイスキーっていがいがしてるからね」
「そうそう、癖があるから」
二人にとってはだった。ウイスキー等の味は癖があるのだ。
それでそうした酒は何かで割らないと駄目だというのだ。二人は夜道を歩きながらそうした話をした。そして曲がり角で。
「じゃあまた明日ね」
「うん、明日ね」
二人で顔を見合わせて別れの挨拶をする。
愛実は自然に微笑んでいた。その微笑みと共にこう聖花に告げた。
「明日、また楽しくね
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