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八条学園怪異譚
第七話 魚の目その十四

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「だからだ。気にしないでくれ」
「いるだけでいいんだね」
「それで」
「子供や孫達が墓前に供えてくれているので餓えはしていない」
 霊魂はそれで満ち足りる。そういうことだった。
「だからいい」
「そうなんだ。じゃあね」
「今からガジュマルの木の中で遊ぼう」
「泡盛飲んでお魚の目を食べて」
「沖縄料理だってあるし」
 キジムナー達は日下部を囲んで陽気に話す。そうしてだった。
 愛実と聖花にもう一度向かい合ってこう告げたのだった。
「じゃあまた今度ね」
「機会があればね」
「泡盛と沖縄料理用意しておくからさ」
「勿論お魚の目も」
 こうコミカルにぴょんぴょんと跳ねながら二人に話す。するとゴムマリの様に勢いよく跳ねる。実にバネがいい。
 そうしながら二人に言ってそれからだった。二人は日下部、そしてキジムナー達と別れた。
 そのうえで学園を出て帰路につく。その中で愛実はこう聖花に言った。
「幽霊の日下部さんもそうだけれど」
「妖怪のキジムナーの人達もよね」
「親しめる人達よね」
「そうよね」
 二人は何時の間にかキジムナー達を『人達』と読んでいた。だがこのことに関して何の違和感も感じていないし気付いてもいない。
「だから今日はね」
「そうよね。実際はね」
「一緒に泡盛飲みたかったわね」
「私もよ」
 聖花はとても残念そうな顔で愛実に言う。
「実は泡盛好きなのよ」
「あれ美味しいよね」
「大体焼酎系好きだから」
 聖花は自分の酒の趣味も話す。
「それでなのよ」
「私も焼酎好きよ」
 これは愛実も好きだった。彼女も焼酎派なのだ。
「だからね。泡盛もね」
「好きだからね」
「正直なところね」
 どうかとだ。愛実も残念そうに話す。
「残念だけれどね」
「そうよね。けれどお酒が入るとね」
「それで終わっちゃうからね」
 勉強も何もできないというのだ。実際に酒を飲んで勉強も何もない。
 だから愛実と聖花はここは帰ったのだ。そして今こうして話しているのだ。
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