第七話 魚の目その十
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「大学の方に妖怪達が集まっているのだ」
「えっ、集まってるんですか?」
「妖怪達が?」
「そうだ。ある博士、名誉教授の研究室にな」
「そういえば何か聞いたことがあります」
「私もです」
二人はまだ入学して間もないがそれでも聞いていた。八条大学には大学の名物教授と言っていい人物がいるのだ。
「悪魔博士ですよね」
「悪魔教授ですよね」
博士、教授という違いがあるがその先についている名称は同じだった。
「確かそうですよね」
「百歳ですか?百二十歳ですか?」
「何か凄いご高齢でも現役なんですよね」
「日露戦争の頃から生きておられるっていう」
「私も詳しいことはわからないがな」
だがそれでもだとだ。日下部もその教授について話す。
「私が海軍将校としてこの学園にいた頃には既に白髪の老人だった」
「それって七十年近く昔ですよね」
「それこそ人が生まれて死ぬ位の」
「あの頃に博士ご本人ともお話をしたが」
大戦中の話だ。もうその頃を知っている人も少ない。
「恐ろしいまでの学識の持ち主だった」
「大学教授ですからね」
「だからですよね」
「ただの大学教授ではない」
大学幼獣jといってもピンからキリまでだ。もっとも日本の大学教授、いや学者や教師というものは日下部が今言う戦争の後で質が極端に落ちて今に至るが。
「専門は文学、いや法学だったか」
「あれっ、どっちですか?」
「専門の他にもですか?」
「文学や法学の他に経済学、哲学に理学、工学、医学にだ」
様々な学部が挙げられる。
「多くの博士号を持っているのだ」
「伊達に長生きしてる訳じゃないんですね」
「そうなんですね」
「そうだ。無数の博士号を持っているのだ」
それを聞いてこう言う二人だった。
「それだけでもう特撮の博士みたいですね」
「それも悪役の」
「海外の博士号も持っていれば語学の天才でもある」
学問の才は恐ろしいものなであるというのだ。
「錬金術や魔術にも詳しいらしいしな」
「何かそれだけで、ですね」
「普通じゃないですね」
「確かに普通の人物ではない」
あらゆる意味でそうだった。年齢だけでなく学識もまた。
「私も話をしていて驚いた。そしてだ」
「今もご存命ってこともですね」
「日下部さんが老衰でお亡くなりになられたのに」
「そうしたことも含めてですよね」
「あの博士は普通じゃないですよね」
「いい人だよ」
またガジュマルの木から声がしてきた。今度は二人に対する声だった。
「あの博士はね」
「私達に?」
「私達に言ったわよね、今」
「そうだよ」
その通りだとだ。ガジュマルからの声はまた二人に言ってきた。
「博士のことを言ってるんだよね」
「そうだけれど」
「ええと、貴方達ってまさ
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