第零章 始まり
プロローグ 『剣製(少女)は世界を越えて…』
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助けることもできるわ。
でも、これはシロウのお姉ちゃんからの最後の願い…シロウはもう十分に頑張ったよ。だから今度は自身の幸せも願ってもいいと思うの。
人助けもいいけど、守ろうと思った人達もちゃんと守ってあげてね。
…最後になるけど、いつ会えるか分からないけどあの世ってものがあったなら今度はずっと遊んで欲しいな…うう、なんか愚痴っぽくなっちゃったね。
今度こそ本当に最後、幸せになってねシロウ。お姉ちゃんは天国でシロウのこと、ずっと見守っているから。
親愛なる貴方の姉、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンより』
「くっ…ぐ…!」
俺はもう三人がいるのにも関係なく盛大に涙を流した。
どうしてイリヤの気持ちに気づいてやれなかったのか。いや、気づこうとしなかったのか?
そんな想いが頭の中をリフレインする。まるでイリヤの言葉が全身に行き渡るかのように体が震える。
そこに遠坂が話しかけてきた。
「それが…イリヤスフィールの最後の願いよ。断るならこの場で私が一思いに殺してあげるわ」
「ありがとう遠坂…ああ、その心配は不要だ。私はイリヤの想いを踏みにじりたくない…」
「そう、それじゃ決心したのね」
「ああ、だから橙子さん…お願いします」
「…わかった。じゃしばらく目を瞑っていろ」
「………」
私は無言で頷き目を瞑った。
すると橙子さんは私の胸に手を当てた。そして五感がすべて消え去り、得体のしれない浮遊感を感じて、次にはなにかに押し当てられるかのような感覚が一気に駆け巡った。
しばらくして急に感覚が戻ってきて橙子さんに「目を開けていいぞ」と言われたので開けた瞬間、私の元の体が横たわっているのを見た。
そしてもう自身の体とはさよならなんだと思い、
「今まで、私の無茶に付き合ってくれてありがとう。私もこれから頑張っていくから…」
「それにしても銀色の髪が煌めく緋色に変わるなんてやっぱり属性柄なのかしらね? 反射具合で銀も残っているし…女性の敵だわ」
「目の色はルビー色から琥珀色に変化したようじゃの?」
そうなの? ずいぶんと変わったものだ。
「さて、それでは衛宮。体の調子はどうだ?」
「ちょっと待ってくれないかしら? すぐに調べる…………ん?」
「ちょっと、士郎。体が女性になったからって急に女言葉は変よ?」
遠坂は呆れているが、私は結構動転している。
「い、いやちょっと待って…! え、なんで!? もしかして元の喋りができない!?」
「なかなか面白い現象だの? とりあえず落ち着いて調べてみたらどうじゃ?」
「え、ええ…」
とりあえず、
「――同調開始」
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