第零章 始まり
プロローグ 『剣製(少女)は世界を越えて…』
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る。
「ですが大師父…私の体は見たとおり人としてはもう使い物にはならないだろう。そこはどうするのだ?」
「そこは安心しろ。お主には代わりの体が用意されている」
「新しい、体…?」
「ここからは私の出番だ」
そこで今までずっと沈黙を保っていた女性が口を開いた。
「始めましてだな、錬鉄の魔術使い。私は“蒼崎橙子”。お前と同じ封印指定の人形師だ」
「蒼崎橙子!? それってあの魔法使いの一人である蒼崎青子の姉にあたる!」
「…不本意だがそうだ。さて、あまり時間も無い。早速だがお前にはこの人形に入ってもらう」
そして橙子さんがアタッシュケースから(どうやって入っていたのかはこの際気にしないことにしよう)一体の人形を、人形を…?
私の思考はそこで一時フリーズした。
だって、その人形の外見は…!
「そう…この人形はイリヤスフィールが素体になっているわ」
遠坂が俺の思っていることを口に出してくれたが到底理解できるわけが無い。
素体だと? ではこのイリヤとほぼ同じ外見の人形はイリヤの死体をもとに作られた訳で…!
それに思い至った途端、動かないにしろ私はその場で出せるほどの殺気を放出した。
我慢できるものか! イリヤのおかげで私は世界と契約もせずにやってこれたというのに…これではあまりに!
「士郎、怒りたいのは分かるけどまずはこれを見てくれないかしら?」
遠坂が一枚の手紙を私に渡してきた。
なにが書いてあるのだ!? という怒りをなんとかそれを抑えながらもそれを読んだ。
途端、一気に頭は水を浴びせられたかのように冷めて変わりに涙がこぼれ出した。
『シロウへ
これを呼んでいるって事はもう私は死んじゃっているのよね?
だけど悲しまないで。私は今まで人形としか生きる事が出来なかったけどシロウのおかげで人としての生き方も短いけど体験できた。
シロウには楽しいことをたくさん教えてもらった。愛情もたくさんもらった。いつも守ってもらった。
…だけどね、きっとシロウもアーチャーと同じような道を行っちゃうと思うの。でも私はそんな事は許さないんだからね?
だから今度は私がシロウを助けるの。出来損ないの体だけど私が死んじゃった後、リンやトウコには私の体を使ってシロウを助けてあげてって伝えてある。
きっとシロウはこれを読んだら怒るかもしれないけど、私にはこれくらいしかできないから。
でも、私はこれでいつもシロウと一緒にいられるから守って上げられる。わがままな願いだと思うけど…私もシロウと一緒にいたい。
体だけだけど…大事にしてくれたら嬉しいな。でもきっとシロウのことだから無茶はしちゃうと思うの。だから私の体に残っている魔術回路も全部シロウに上げる。
これなら今以上に戦えるし、人もより多く
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