第3章 白き浮遊島(うきしま)
第27話 ティンダロスの猟犬
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背後に回り込めない訳はないでしょう。
「サイト。行くわよ!」
瞬時に判断したルイズが才人の右手を取り、階段の方向に走り出す。
「お、おい、このままっ?」
未だ、決断の出来ない才人と、決断したルイズの行動に微妙なズレが生じたその刹那。
それまで無意味に壁盾を叩くのみで有ったティンダロスの猟犬たちの舌が、あらぬ動きを行い、そんなズレの生じた二人に襲い掛かる!
そう。それは、いままでの直線のみの攻撃から、鋭い角度を伴った攻撃への変換。壁盾と天井。そして、宿屋の大理石製の壁の間を縫うように接近した必殺の攻撃が、今まさに才人の頭部を貫通しようとしたその時。
紡がれるは古の知識。結ばれるは繊手の閃き。
そのタバサの口訣の意味と覚悟に、低い体勢で壁盾の後ろに全身を隠していた自らの身体を晒し、彼女を覆い隠すようにする。
タバサにより、自らを巻き込む事を厭わぬように放たれた雷公の腕が、今まさに才人の頭部への直撃ルートを辿ろうとしていた猟犬の舌を黒焦げに変える。
周囲に降り注ぐ雷の嵐を自らの身体を盾にすることで全て防ぐ俺。
俺の本性は龍。その俺に対して、雷の気は一切害を与える事はない。そして、それはタバサも当然知っています。
ルイズは後ろを振り返る事などなく、そして、才人の方はタバサの放った雷に貫かれる俺の姿を見とがめながら、その後、何事も無かったかのように自らの方に少し笑い掛ける俺の顔を見た事によって、ようやく覚悟を完了。
左手に携えし自らの武器を鞘から抜き放つ才人。
銀の刀身に煌めく使い魔のルーン。
発動されし伝説の使い魔の能力は、それまで引かれるだけで有った主客を一変し、そのまま自らの主を抱え上げ、そして、次の瞬間には、わずかな余韻のみを残して階下へとその姿を消していた。
その判断が正しい。そして、こんな異形のヤツラの相手が出来るのは、それなりの知識を持っている人間でなかったら無理。
「タバサ。戦闘時の使用は初となるけど、雷公召喚法を、俺とオマエさんの意識を直結した状態で発動させて、アイツらを一掃する。
理由は判るな」
瞬時に判断して、タバサに対してそう告げる俺。
意識の直結。完全な同期状態にして、ふたりの雷撃を召喚しようと言う提案。
これは、おそらく、この世界に於けるヘキサゴン・スペルとか言う魔法と似たような種類の仙術と成ります。
但し、当然のように問題も有ります。
上手くシンクロ出来なければ、単なる魔法の同時攻撃となるだけ。
もうひとつは、意識を完全に明け渡す場合、双方の自我の境界が曖昧となり、どちらかに、後遺症のような物を残す可能性も有ります。
軽い物だと以心伝心。簡単にこちらの思っている
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